カテゴリー「国内政治」の記事

2015年7月16日 (木)

ラウルの国会での演説

ラウルの国会での演説、大要下記の通りです。

7月15日キューバ、第5期通常国会開催、ラウル閉会演説の大要次の通り。

経済成長の低下傾向を逆転することができた。GDP上半期4.7%成長、年率で4%成長可能。成長分野は砂糖産業、建設、商業、観光、農牧畜生産。干ばつの影響深刻で、現在全国で貯水量は38%。再々の不満は交通事情。経済への影響深刻。部品、メンテ、修理不足から生じている。交通手段のキューバへの到着が遅れたことも響いている。
上半期外貨事情深刻だったが、わが国への経済の信用のために債務支払いを履行した。
そうした中で社会サービスは維持し、流行病で大きな成果があがった。
インフレは、3-5%で計画通り、農産物の価格は平均賃金の上昇以上となっている。
第6回大会で承認された路線の導入の報告は、来年度の党大会で行われる。また現在の改革の性格規定、2030年までの経済政策は、来年度の党大会で行われる。
国営企業のより柔軟な経営、、成果主義にもとづいた賃金制度の改定が進んでいる。
通貨の統一が進んでいるが、国民の預金CUC、CUP、手もちの外貨にはなんら影響がないことを保証する。
非農業部門で協同組合の設置が進められている。
50万人余の自営業が引き続き増大し、飲食業とサービス業で請負制度が進められている。
独立の基礎である繁栄した、持続可能な社会主義を引き続き建設する。

国際問題では、コスタリカで第3回CELAC首脳会議が開催され、米国の経済封鎖解除要求が決議された。第7回米州首脳会議にキューバが初めて出席し、そこでも米国の経済封鎖解除要求が多くの国によりなされ、米州の力関係が修正され、もはや中南米は裏庭でなくなった。その折にわれわれは米国と会談した。この両方の国際会議でのキューバの発言は、米玖関係でのキューバ革命の原則を示している。ベネズエラのマドゥーロ政権との連帯を繰り返し述べ、同政権への外部からの干渉に反対する。エクアドルのラファエル・コレア政権との連帯、市民の革命への支持を表明する。ブラジルのジルマ・ルセフ政権との連帯を表明する。

NATOがロシアの国境まで拡張されることは、国際平和に取り脅威であることを警告しておく。ロシアに対する制裁は、ヨーロッパの利益を傷つけ不安定にするもの。CELAC―EU会議で述べたように、制裁によらず、話合いで解決すべきである。イランと安保理常任理事国+ドイツとの合意を歓迎する。すべての国の核兵器の平和利用の権利を支持する。対話と交渉こそ国家間の問題の唯一の解決手段である。これから9月の法王フランシスコの訪玖の準備をする。法王は、平和と団結、平等、貧困の一掃、環境保全に力を入れている。

7月20日公式に米玖外交関係が復活し、大使館が設置される。12月17日から始まった国交正常化の第一段階が終了し、長い複雑な正常化の過程が始まる。米国の対キューバ経済封鎖が維持されている限り、正常化とは認められない。オバマ大統領が、引き続き大統領権限で行える経済封鎖の緩和をすすめることを希望する。その他は、議会の問題である。正常化のためには、グアンタナモ海軍基地の返還も必要である。反キューバテレビ・ラジオ放送の中止も必要であり、キューバが経済封鎖で受けた被害の補償も必要である。
7・26記念集会は、マチャド・ベントゥーラが演説する。

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2013年11月11日 (月)

少しずつ、しかし、休むことなく進むキューバの改革

少しずつ、しかし、休むことなく進むキューバの改革

2006年7月フィデル・カストロ議長が病気となり、権限をラウル・カストロ第一副議長に移譲してから、7年が経過しました。権限を委譲されたラウルは、すぐさま「経済の構造的な改革」が必要で、労働人口の80%を占める公務員が賃金だけで生活できるようにする必要があると述べました。ラウルは、キューバ経済の問題の深刻さを適切に認識していることを示したのでした。しかし、ラウルは、2008年2月、政権移譲後の最初の国会議員選挙を終えて、急速な改革を期待する内外の記者を前に、「この選挙は、重要な一歩である。これまでと違った複雑な段階で、いろいろ重大なことを決めなければならないが、それはスコーシずつである」と答えたのでした。ラウルの性格を反映して、改革は、事前に十分、集団的に討議し、決定したら断固として実行するというスタイルが取られています。

続きは、添付のPDFをお読みください。
「13.11.11 少しずつ、しかし、休むことなく進むキューバの改革.pdf」をダウンロード


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2013年11月 3日 (日)

キューバとキューバ人についての13の「一般に信じられている真実」

キューバとキューバ人についての13の「一般に信じられている真実」

日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会学術委員会主催の10月研究会において、政治学者で、現在、キューバの総合理論誌季刊「テーマス」の編集長である、ラファエル・エルナンデス教授(1948年ハバナ生まれ)が、「キューバにおける移行期の諸政策」と題して講演されました。

講演は、次の4つの柱について、行われましたが、その一つの「一般に信じられている政治的常識」について、教授は、一つ一つ真実を明らかにしました。
I. キューバについての政治的「常識」
II. 移行の諸課題についての政治的諸問題
III. 社会主義の刷新の諸政策
IV. 何への移行か?

さて、あなたは、どうこれらの「一般に信じられている真実」に反論されますか?

I. 「政治的常識」
キューバとキューバ人についての13の「一般に信じられている真実」

1. ラウル・カストロのもとでは、いかなる政治的変革も行われていない。
2. ラウル・カストロでもって、これまでの革命路線は終わりとなる(いかなる政治的後継者もいない)。
3. 軍部は、新しい政府の鍵となる機関である。ラウル政権の重要な閣僚は、軍部出身者で占められている。
4. 政府へのいかなる反対も禁止され、処罰される。
5. 現政権への政治的反対グループ(反体制)は、今後キューバを民主的に変革する選択肢である。
6. 国内の政治的仲介・和解は、カトリック教会によって進められている。
7. キューバ共産党の一党制が残存する限り、いかなる民主化も不可能である。
8. キューバ人は、世界の他の部分を何も知らない。
9. 青年達は、海外に移住したがっている。
10. キューバ人の公務員の月額平均所得は、20ドルである。
11. キューバ人の他国への移住は、亡命である。
12. 米国のキューバ政策は、キューバ系アメリカ人のロビーによって動かされている。
13. キューバ系アメリカ人の二世たちが年を取るにつれて、キューバ系アメリカ人の政治的エリートも変わってきている。

なお、第7項目については、筆者は、エルナンデス教授の論点とは、別の見解をもっています。

(2013年11月3日 新藤通弘)

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2013年1月17日 (木)

キューバ、家電持ち込みに心配は不要!

キューバ、家電持ち込みに心配は不要!

過日、ある新聞に、キューバ人男性と結婚してキューバに在住しているAさんの記事、「家電持ち込みは要注意!」が掲載されました。

Aさんの経験では、ハバナ空港で税関を通り、出口に向かった際に、税関の係官にスーツケースの内容を特別に調べられ、電気炊飯器が入っていることから、ちょっとしたトラブルとなったということです。Aさんは、スーツケースに張り付けてあった紙を引きちぎって隠していたのに、係官に調べられ、炊飯器の電気容量を許可限度1000W内の500Wと言い張って許可されたとのことです。

Aさんは「家電の持ち込みに注意」といわれていますが、キューバ政府は、ここ数年意味のない禁止条項を廃止してきており、その中の一つに、外国人旅行客の入国時の家電・電子製品の許可の拡大があります。昨年の11月には、財政・価格省決議第357/2012でテレビ、パソコン、家庭調理機、デジカメなどの持ち込みを無税として、許可しました。現在は、家電・電子製品は、ほぼ全面的に無税で持ち込めます。

キューバも今年は、観光客が年間300万人に達すると予想され、入国手続き、通関手続きの簡素化を図っているところです。昨年8月には、財政・価格省決議第222号で、外国人旅行客に対して50kgまでの個人用荷物を無税としました。今年の1月からは、政令第305号で、1年間滞在の「固定居住者」(延長可能)という新たな滞在ステータスを作り、ビザを発給するようになりました。もちろん、まだまだ不要な禁止事項や官僚主義的な処置・応対も見られます。

しかし、一方で、キューバに外国人が旅行客を装って、キューバ国内での撹乱活動のために、違法に武器や弾薬を持ち込む事例もあります。税関当局は、そのためスーツケース類の荷物を旅客機から降ろして、到着受け取りターン・テーブルに行く前に、荷物を開けずにレントゲンで透視検査を行っています。その際、不審に思われた荷物には、荷物タッグに要検査の印を付け、旅行客が税関を通り過ぎる時に、特別検査を行うことになっています。この透視検査(米国の場合は開梱検査)は、それぞれの国の事情により、いろいろな国で行われており、特にキューバが異常というものではありません。

Aさんの場合は、この例に当たりますが、要検査の税関の印を破って捨てることは、税関業務を妨害することになり、違法行為となります。また、電気炊飯器の容量を偽って500Wと説明したのであれば、規制の妥当性は別として、それは虚偽の申告になり、処罰の対象となります。虚偽の申告で税関を通関することは、自慢にも、ユーモアにもなりません。

この記事を呼んだ読者が、キューバに入国の際、不要に電気製品の持ち込みに神経を使うのも滑稽ですし、万一、要検査のマークをされたときにそれを破って捨てては、違法行為になります。内容を聞かれて虚偽の申告をすると処罰の対象になり、日本人旅行者にそうした例がそろって見られた場合、キューバ税関当局は、日本人をどう見るでしょうか。

入出国管理、税関業務は、その国の主権が厳しく問われるところです。その法律に異議があっても、それぞれの国では、それぞれの国の法律を尊重して、守ることが要求されます。

2013年1月17日 新藤通弘

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2012年8月 3日 (金)

ある反体制派活動家の交通事故死

ある反体制派活動家の交通事故死

さる7月22日午後1時50分、キューバ東部のグランマ県のバヤモ市のラ・ガビーナで、交通事故により、反体制派のグループの一つ、キリスト教解放運動のリーダー、オスバルド・パヤー・サルディーニャス(60歳)とハロルド・セペーロ・エスカランテ(31歳)の2名が死亡、運転していたスペイン人のアンヘル・カロメーロ・バリオス(27歳)と同乗者のスウェーデン人のジェンス・アロン・モディグ(27歳)は、軽症を負い、バヤモの病院に収容され、治療を受けました。

続きは、添付のPDFをお読みください。
「12.08.03 反体制派活動家の交通事故死.pdf」をダウンロード

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2012年2月13日 (月)

キューバ共産党第一回全国会議開催される

キューバ共産党第一回全国会議開催される

キューバ共産党第一回全国会議が、1月28日、29日の二日間、ハバナの国際会議場で、80万人余の党員を代表した806名の代議員が参加して開催されました。会議の開会演説は、ホセ・ラモン・マチャド・ベントゥーラ党第二書記が行い、4つの分科会で討論が行われました。29日には分科会の議事録の発表と承認、「党の目的と活動についての決議」が提案され、承認されました。最後にラウル・カストロ党第一書記が閉会演説を行いました。この全国会議は、昨年4月に開催されたキューバ共産党第6回大会合意に基づいて開催されたものです。

続きは、添付のPDFをお読みください。
「12.01.29 キューバ共産党第1回全国会議開催される.pdf」をダウンロード

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2011年12月29日 (木)

オッペンハイマー:キューバを知らない「キューバ通」

オッペンハイマー:キューバを知らない「キューバ通」

アンドレス・オッペンハイマーは、ラテンアメリカ問題専門のジャーナリストで、マイアミの保守系有力紙「マイアミ・ヘラルド」のコラムニストです。彼は、1992年『カストロの最後のとき』というセンセーショナルな本でフィデル・カストロ政権が早晩に崩壊すると予言しましたが、ご承知のように予言ははずれ、カストロ政権は、継続しました。筆者は、かつて、「オッペンハイマーのたわごと」(2010年4月9日)で、また「オッペンハイマーの予見力」(2011年4月11日)で彼の見解を批判しました。その後のキューバの展開は、オッペンハイマーの予見するようには展開せず、筆者の指摘が正しかったことを示しています。

その彼が、またしても見当違いのキューバ論、「考えられない、キューバがIMFに助言を要請?」を「マイアミ・ヘラルド」(2011年12月15日)で展開しています。

さて、今回、オッペンハイマーは、元クリントン政府の高官、リチャード・E・ファインバーグによるブルッキングス研究所の調査報告書「橋をかけながら:新しいキューバ経済と国際的な反応」をやり玉に挙げて、キューバの現状を痛罵しています。まずは、それを紹介しましょう。

続きはPDFでお読みください。
「11.12.28 キューバを知らないキューバ通、オッペンハイマー.pdf」をダウンロード

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2011年12月 3日 (土)

新たなキューバ神話、世界で唯一の持続可能国家?

新たなキューバ神話、世界で唯一の持続可能国家?

最近、筆者の講演会の案内を受け取ると、次のように書いてありました。
「カストロ、ゲバラ、
町は音楽であふれ、
医療・教育を世界が手本とし、
有機農業で食料危機を救い」

ここには、小生の講演内容とは正反対のことが書かれており、当惑しましたが、主催者がすでにチラシを配布されており、そのままにしておきました。さらに、別な講師の講演会の案内には、
「9割型完成していた原発を廃炉にし、
世界唯一の持続可能な国家、キューバ」
と書かれています。とすると、こうした案内文が示すようなキューバが、一般のキューバ好きの方々のキューバについてのイメージのようです。

一方で、自主的な立場に立ちつつ、キューバを良く知っている人々から最近しばしば聞かれることは、
「キューバはなぜ倒れないのか? キューバはもつのか?」
ということです。

さて、実際は、どうなのでしょうか。キューバ研究はここから始まります。

続きは添付のPDFでお読みください。

「11.12.04 持続可能な国家か.pdf」をダウンロード

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2011年10月16日 (日)

「参加型社会主義」に関連しての雑考

「参加型社会主義」に関連しての雑考
岡部 廣治
ある友好組織の文書で、キューバ「独自の参加型社会主義」について語られていることを知りました。しかしながら、「参加型社会主義」は魅力的な新語ですが、社会科学の用語としても、友好運動をすすめる観点からも、下記の理由から不適切と考えます。

まだ、世界に社会主義社会は現実に存在していませんが、科学的社会主義の考え方からすれば、本来、社会主義社会、すなわち経済的社会構成体としての社会主義においては、社会の全成員が、社会のすべての面での決定と、その実現過程へ平等かつ自由に、積極的に参加するのです。「自由の王国」(マルクス)においては、「自然との物質代謝を合理的に規制し、自分たちの共同の管理[全成員の参加]のもとにおく」のです。そういう科学的社会主義の創始者たちが述べている社会主義に「参加型」と「非参加型」と二つの「型」を区別することはできません。したがって、「参加型社会主義」というのは、同語反復(トートロジー)となりかねません。

私の知る限り、現在、当のキューバでも「参加型社会主義」については語られていません。少なくとも、キューバ共産党第6回大会決議のなかにも、また、キューバ共産党機関紙『グランマ』の大会についての記事のなかにも、「参加型社会主義」という語は見あたりません。大会で議論の対象とはならなかったのです。「参加型社会主義」という語は、「参加型民主主義」とならんで、魅力的な「新語」ですが、それだけに、悪用の危険もはらんでいます。たしかに、たとえば、スターリン時代のソ連や東欧諸国の社会を「社会主義」と言うならば、「参加型社会主義」という語を用いたくなります。しかし、あのソ連にみられたような社会は社会主義とは無縁のものでした。そうなると、「参加型社会主義」は、どういう社会主義に対抗する概念でしょうか。キューバで社会主義社会の建設をめざしている人びとのあいだで、「参加型社会主義」という語は使われていませんし、使われたこともありません。キューバ共産党も、この点では、理論的混乱は犯していないようです。

それにもかかわらず、二つの型を峻別して、キューバの目標とする社会を、その文書が「(キューバ)がキューバ独自の全員参加型の社会主義に向って歩みを速めることを心から期待する」と述べているように、「キューバ独自の全員参加型社会主義」と規定しては、キューバ共産党、キューバ政府自身も言っていないことを一方的に相手に期待することになり、筋違いのキューバの「美化」=「賛美」に陥ることになりはしないでしょうか。社会主義への過渡期にあるキューバをすでに「社会主義」国であるとして、「参加型社会主義」と規定することは、もちろん誤りですが、社会主義への過渡期にある社会=国は、どこであれ、市民参加を深化=強化することを不可欠な課題とするべきですし、また、しています。キューバだけが特別ではありません。そうしなければ、社会主義社会を建設できないからです。

以上のようなキューバ「特殊」論は、「有機農業のモデル」国であるとか「キューバ人の底抜けの明るさ」とか、キューバを「美化」=「賛美」する傾向と、深い関係を持つように思われます。チェ・ゲバラを「100%すばらしかった」とするのも、この一連の傾向の一環と言えましょう。チェの風貌・情熱はきわめて魅力ですが、それだけに、内政干渉(「国境を越える革命」論)、『主観主義』的、「冒険主義」的傾向などの否定的側面を正確に批判することを忘れてはなりません。

キューバ当局側の言い分を鵜呑みにすることなく、あるいは事実は存在しないのに自分たちの願望を投影して相手を描くことなく、事実・真実を(キューバの「短所」・「弱点」も含めて)、日本国民に知ってもらうようにして、はじめて、キューバ国民が社会主義への道をすすむのに真に寄与することができると思われます。また、日本での革新的変革を考える人びとに、正確な世界の現状の認識を提供することによって、今後の日本の変革の過程に大いに寄与することとなりましょう。もちろん、「独裁制」とか「非民主主義」とか「テロ支援国家」とかいう、キューバに対する誹謗=中傷には、断固として、反駁する必要があります。その反駁のためにも、「キューバ、よいとこ」式の「仲良しクラブ」的感覚では、太刀打ちできないのではないでしょうか。

さて、本題に戻りますが、でも、キューバには、この「参加型社会主義」という語を使いたくなる誘惑にかられる社会状況がないとは言えません。1959年1月以降、少なくとも1961年4月の「社会主義革命宣言」以降のキューバ社会は、社会主義社会建設をめざす過渡期の社会です。つまり、まだ、経済的社会構成体としての社会主義が確立されているのではありません。それゆえ、国民の社会参加は十分に実現されていません。それで、参加を深化・強化することが必要だという認識から、それを重要な課題としています。社会主義社会をめざす過程で、国民の参加を格段にすすめよう、国民が大いに参加して社会主義社会への道筋を着実に歩もうとしています。その後国民の社会参加として、地方・国会議会制度、選挙制度、職場集会、地域住民集会などの制度化が図られていきました。それは、反バチスタ独裁政権闘争において武力闘争で勝利したキューバ革命が、多数者革命として、革命を一段と推し進める過程でもありました。

キューバ共産党第6回大会での討議文書『経済社会政策路線』案を国民的討議に付するにあたり共産党機関紙『グランマ』(2010年12月1日付)に掲載された「主張」には、「決定するのは国民である」という表題が付されました。そこには、次のように書かれています。
「国の運命に参加することは、キューバ人一人ひとりの権利である。社会主義的民主主義のもっとも明確な行使であり、《革命》と、それと国民との融合とを、もっともはっきりと明快に表現するものでもある」。
また、「参加」の問題と関連すると思われるのですが、共産党内の問題について、大会で開催が決定された党全国会議招集の文書の中に、討議され、改革されるべき議題の一つとして、次のように記されています。
「党内民主主義の強化、党の活動をますますダイナミックにすること。そのために、自発性を発揮させ、官僚主義的な方式・態度、すなわち、拙速、形式主義、虚偽の全会一致、御都合主義に対決を挑むこと」。
つまり、ここでは、キューバ共産党内にも、民主主義の問題で不十分な点があるという現実を率直に指摘しているのです。

党大会で、『路線』案は、大会への「報告」によると、16万3079の集会で、延べ891万3838名が参加して、討議され、それを含めて大会で議論されました。一人が平均3回の会議に重複して参加した(党内討議、職場討議、居住地域討議)とすれば、キューバ国民(未成年、乳幼児、討議に参加できない高齢者も含めて)の10人に3人が、討議に参加したことになります。そして、案の改正にあたり取り上げられた意見は40万件にのぼりました。結果、原案の291項目中197項目に修正が加えられ、16項目はまとめられ、36項目が付け加えられて、最終的には311項目にまとめられました。しかし、このことをもってしても、一面的にキューバにおいて「参加型民主主義」(この語も「非参加型民主主義」もしくは「議会制民主主義」の対語として使用すべきではないでしょう)が発揮されたと賛美することはできません。一社会的集団である共産党の『路線』案に、職場や地域住民の非党員も参加して、国の方針として討議するというのは、一党制からくる制限をいわば苦肉の策で解決を図るものともみられます。また、職場討論集会は、強制的参加という側面があり出席率が高いのは当然ですが、地域住民討論集会(革命防衛委員会の集会)では、出席率は50%以下が多く、しかも一般住民の発言は少なく、消極的なものであったといういろいろな報道や研究者の報告があり、討論参加者の人数でもって、単純に圧倒的多数の国民が参加しての民主的討議が行われたとも言えません。

それはともかく、こうして、国民大多数の参加を得て、国家機構や国営企業の余剰人員120万人の民間部門への移転、地方分権化、基礎食料品の配給制廃止、二重通貨制の廃止、国営遊休地耕作権の農業従事者への貸与、外資や海外渡航の規制緩和など、旧来の陋習(中央集権主義的、管理主義的な経済社会運営)の廃棄とともに、医療・教育の無料制、社会的弱者への援助の維持と改善を明示した「路線」が採択されたのです。

キューバ共産党の第6回大会については、「参加型社会主義」というような主観的な空語でなく、その内容を理解して、今後、キューバが国民全体の繁栄と世界平和に向けて、正しい進路をたどっていくのを見まもっていくことが必要でしょう。

(2011年10月16日記)

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2011年9月16日 (金)

キューバで、マグニチュード4.5の地震

キューバで、マグニチュード4.5の地震

15日現地時間の午前4時43分(日本時間15日午後6時43分)、キューバ南東部で地震が起きました。地震規模は、日本の東日本大震災、その後の相次ぐ余震からすれば、大きなものではありませんが、地震がさほど多くないキューバ人にとっては、驚きだったことでしょう、早速世界にニュースが流れました。本ブログは、キューバのニュースを逐一報道するものではありませんが、日本の最近の事情から、心配の人びとも少なくないでしょうから、簡単に、実情を紹介します。

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「キューバ市民防災全国本部」の発表によれば、キューバ全国地震サービス局網は、15日午前4時43分、揺れを感じる地震を記録しました。震源地は、グランマ県のクルス岬南東59キロのカリブ海で、震源の深さは15キロ、地震の大きさはマグニチュード4.5でした。津波は生じませんでした。キューバでは、今年に入って8番目の有感地震でした。クルス岬、ニケーロ、バヤモ地域には被害がなかったということです。なお、米国地質調査所によれば、地震の大きさはマグニチュード6、震源の深さは10キロと報告されていますが、いずれも被害はなかったと報道しています。

(2011年9月16日 新藤通弘)

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