カテゴリー「経済・政治・国際」の記事

2017年4月17日 (月)

エリエル・ラミレス、国家評議会所属アナリストとのインタビュー

エリエル・ラミレス、国家評議会所属アナリストとのインタビュー

1982年ハバナ市生まれ。2006年ハバナ大学文学部歴史学科卒業。国際関係学博士。現在、国家評議会所属国際関係アナリスト、特に米玖関係専門家として活躍中。著書に『米玖対決の分析』(2015年)など多数。

米国でトランプ政権が誕生したのは、アメリカの深刻な危機そのものを反映したものです。トランプは、非常に有能な補佐官を伴って選挙戦を優位に戦いました。選挙戦は人気のない、エリート層でエスタブリッシュメントのヒラリー・クリントンと国民の様々な不満をあおる富裕不動産王のトランプのどちらを選ぶかという選挙戦でした。
続きはPDFをお読みください。「17.03.25 エリエル・ラミレス、アナリストとのインタビュー.pdf」をダウンロード


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2017年1月16日 (月)

2016年キューバ10大ニュース (2)

2016年キューバ10大ニュース (2)
(順不同です)

コロンビア内戦などの和平交渉で積極的に協力
キューバ政府は、ラテンアメリカ・カリブ海諸国の平和的発展とそのための団結を重視し、域内で最後の武装闘争が行われているコロンビアの内戦終結に積極的に協力しました。コロンビア内戦は、ラテンアメリカでも有数の極度の大土地所有制、農村の高い貧困率(50%を超える)、失業率、50年代の内乱から引き継がれたラ・ビオレンシア(暴力)の風土などにより、60年代初頭から、コロンビア革命軍・人民軍(FARC-EP)、民族解放軍(ELN)、解放人民軍(EPL)、4月19日運動(M19)など様々な武装組織が出現しました。しかし、FARCとELNを除き、80年代以降、武装組織は、解散したり、政治運動に転換しました。
続きはPDFをお読みください。「17.01.09 2016年キューバ10大ニュース(2).pdf」をダウンロード

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2017年1月 9日 (月)

2016年キューバ10大ニュース(1)

2016年キューバ10大ニュース(1)
(順不同です)

フィデル・カストロ前議長死去
11月25日午後10時29分フィデル・カストロ前議長が死去しました。享年89歳でした(一般には1926年8月13日生まれといわれていますが、多くの研究者の間では1927年の同日生まれといわれています。1年早く進学するために父親が出生登録を書き直したものです)。フィデルは、国内政治は、2006年7月腸の手術以来、党第一書記と国家評議会・閣僚評議会議長職をラウル・カストロに委譲し、党第一書記は20011年4月の第6回党大会で、国家評議会・閣僚評議会議長は、2008年2月の国会で正式に辞任し、ラウルが両議長に就任していますので、政治上の影響はほとんどないと思われます。
続きはPDFをお読みください。「17.01.04 2016年キューバ10大ニュース.pdf」をダウンロード

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2016年12月24日 (土)

メルコスール(南米南部共同市場)で何がおきているのか

メルコスール(南米南部共同市場)で何がおきているのか

メルコスールが、ベネズエラの当番議長国を巡って揺れています。メルコスールは、1991年3月アルゼンチン,ブラジル,パラグアイ,ウルグアイ4カ国がアスンシオン条約に署名し、1994年末までに域内関税の撤廃を目的とした発足させることで合意し、1994年12月オウロ・プレット議定書に調印して、翌1995年1月1日関税同盟として発足しました。さらに、1999年には域内の関税を撤廃し、米国が進めるFTAA(米州自由貿易圏)構想と距離をおいた地域独自の経済協力を進めました。

2005年11月にはアルゼンチンで開催された第4回米州サミットにおいてメルコスール4か国とベネズエラがFTAAに反対し、米国のFTAA構想はとん挫しました。その後2012年ベネズエラが加盟し、ボリビアは加盟が承認され現在各国議会での批准待ちとなっています。6カ国で人口約3億人、GDP約5兆ドルの中規模の有力市場です。

ところが、昨年12月、アルゼンチンにマクリ右翼政権が誕生し、さらに8月ブラジルでテメル右派政権が出現し、パラグアイの右派政権と合わせて、メルコスール内の政治バランスが大きく右寄りとなり、最左派のベネズエラをメルコスールから追い出し、右翼の太平洋度同盟と連携し、再びFTAAを推進しようと動きが進められています。

12月2日、ベネズエラを除くメルコスールの4カ国はベネズエラの加盟資格を停止し、議長国を剥奪し、アルゼンチンを議長国に選びました。理由は、ベネズエラが、メルコスールの資格要件を十分満たしていないというこじつけでした。ベネズエラ政府は、この無法な決定を受け入れられないとして、規約にもとづいて協議会を要求しました。しかし、マクリ大統領はアルゼンチンでベネズエラ抜きの外相会議を招集し開催しました。ベネズエラは、デルシ・ロドリゲス外相を派遣し、外相会議に出席しようとしましたが、主催者のアルゼンチンは一方的に会議を中止し、テーブル上の国名札、国旗類を片付け、デルシ外相と、同行したボリビアのダビッド・チョケウアンカ外相一行を空室に残すという奇態な扱いをしました。見解の違いを規約に基づいて議論するというのでなく議論の場所から力づくで排除するというのは外交上の民主主義、儀礼にもとるものです。

次の二つの動画は、アルゼンチン外務省のデルシ・ロドリゲス外相への無法な扱いを映しています。
https://www.youtube.com/watch?v=fDaQeQ8gyQo
https://www.youtube.com/watch?v=L8CsrOXv2Ic

(2016年12月23日 新藤通弘)

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2016年12月23日 (金)

ALBA-TCP設立12周年の記念の集い

22日、ALBA-TCP設立12周年の記念の集いが、ベネズエラ、キューバ、ボリビア、ニカラグア、エクアドル大使館主催により、都内のラテンアメリカ・サロンで開催されました。続きは添付のPDFをお読みくださ。「16.12.16 ALBA-TCPとは.docx」をダウンロード

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2016年7月15日 (金)

(続)経済困難に直面するキューバ

(続)経済困難に直面するキューバ

先週の7月8日第7回通常国会(ANPP)が開催され、ラウル・カストロ国家評議会議長、マリーノ・ムリージョ経済・計画相の発言などにより、外貨事情、石油の供給の減少、電気消費量削減の現状が詳細に明らかとなりました。

ラウル議長は、キューバの外貨事情がひっ迫していることを認めつつ、①リスケで合意した支払い分は、必ず期日通り実行する、②通常の貿易支払いが遅れているが、遅れても必ず支払する、③支払いの見通しが立たない契約は、中断し、見通しが立ったところで実行すると述べています(別添、ラウル議長演説参照)。ベネズエラとの関係では、原油の供給の減少があることを認めながらも、ベネズエラとの関係の維持を強く確認しています。

ハバナ市の各地では3~4時間の停電が散発的に起きていますが、発電所の老朽化によるものがほとんどで、電気消費削減計画から直接生じた計画停電ではありません。政府は、①住宅地区、病院、観光施設、輸出産業部門は、削減対象から除外し、②残りの従来の消費量の28%を占めた機関に消費電力の削減を指示しています。すべての機関が50%削減というものではありません。この点は、添付のムリージョ発言に詳しく述べられています。

それでも社会・経済生活の面では、国営期間は、勤務時間を12時まで、冷房使用時間は3時間、自動車燃料は50%減、職場勤務バスは運航停止と制限されています。市民の重要な交通手段となっている民間タクシー(アルメンドロン)は、ほとんどが闇ディーゼルを安く買って使用していますが、国営機関への自動車燃料の供給の減少により、闇に流れる量が激減し、値上げがうわさされています。飲食業の自営業、自営農も、燃料供給の削減、電気消費の制限が今後ないのか、キューバ経済全体の緊縮の中でどう活気を維持するか、困難な課題を抱えています。

ベネズエラからの原油供給量の削減は、一般に報じられているような40%ではなく、今年上半期は原油及び精製油合わせて19.5%減少で83,130バレル/日となっています(16.07.08 Reuters)。ムリージョ発言と呼応します。

こうした緊迫した経済状況の中で、7月12日、国家評議会は、経済関係閣僚2名の移動と解任を発表しました。発表によれば、マリーノ・ムリージョ経済・企画相、閣僚評議会副議長(55歳)は、現在全国的に討議が進められている重要な課題である、「キューバの社会主義発展の経済・社会モデルの刷新」の導入委員会の責任者としての任務に専念するため経済・企画相を解任さされました。後任には、リカルド・カブリサス閣僚評議会副議長(79歳)が任命されました。カブリサス副議長は、長年貿易相を務め、その後各国とのリスケ交渉に責任者として貢献しました。現在、外貨事情が極めて苦しい中で、各省庁から様々な要望が集中する経済・企画省で練達した調整能力が買われたものと思われます。

「16.07.08 ラウル議長、国会演説要旨.pdf」をダウンロード


「16.07.08 第7回通常国会でのマリーノ・ムリージョ・ホルヘ閣僚評議会副議長の発言要旨 .pdf」をダウンロード

(2016年7月15日 新藤通弘)

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2016年7月 7日 (木)

経済困難に直面するキューバ

経済困難に直面するキューバ

先月、6月30日、ロイターのマーク・フランク記者は、キューバ政府が、合弁企業、国営企業に、7月からガソリンと電気消費の50%削減を要請した報道しました。この点について政府の正式な発表は7月6日現在ありませんが、7月4日に開催された国会の経済委員会の席上、ムリージョ経済企画相は、外貨事情がひっ迫しており、数字は示さないながら大幅な電気消費、ガソリン消費の節約を行い、住民への停電を避けるよう呼びかけました。ムリージョ経済企画相の説明では、外貨事情が悪化した原因として、次の4点を挙げています(数字はすべて筆者推計)。

① 石油価格の下落:キューバは、ベネズエラから石油を年間500万トン程度を、医者などの派遣とのバーターで輸入していますが、このうち120万トン程度を再輸出し、年間7~8億ドル獲得しています。しかし、最近、国際石油価格の大幅な下落で、輸出額は5億ドル以下に大幅に減少しています。ベネズエラでは石油の増産が始まり、先週計画停電を解除しており、ベネズエラからの石油の供給が減少したわけではありません。国内での石油の節約を図り、再輸出の量を増やし、輸出額を確保しようという目論見と考えられます。
② ニッケル価格の下落:ニッケル価格は、2014年は16,000ドル/トン(輸出額は9億ドル程度)、2015年は12,000ドル程度でしたが、今年は9,000ドル(輸出額は5億ドル程度)と低迷しています。
③ 砂糖生産の減少:本年度の砂糖生産の目標は190万トンでしたが、目標を19%下回りました。輸出には国内消費70万トンを除き、80万トンを輸出しますが、現在の相場では、1億ドル程度の減収となります。
④ その他の外貨収集の減少:詳細は述べられていません。

キューバの財(モノ)の年間輸出額は170億ドル程度ですから、輸出による外貨収入の6%程度にあたり、今回の措置を実施するものと考えられます。この結果、ムリージョ経済企画相は、「昨年末にはL/Cの支払い期限を守れなくなった、輸入を削減し、在庫を12億ドル取り崩して使用している、今年度の経済成長の目標2%は達成できない」と述べています。

実際、貿易決済の信用状(L/C)の開設の遅れ、決済の遅れ、新たな契約の遅れが見られます。ハバナ市では、停電が報告されている地区も出ています。一方で、累積債務の繰り延べ分は、努力を続け期日通り支払っています。急成長する観光業、順調に発展している自営業者の営業、都市交通の重要な役割を担っている自営のタクシー業などにどう影響するか、心配されるところです。

こうした事情を背景に、6月28日、カリーナ・マロン共産党機関紙「グランマ」副編集長は、キューバ・ジャーナリスト同盟(UPEC)総会で、「現在のキューバでは93年、94年の社会的騒擾は許されない。当時のようにフィデルが鎮圧に出動することもない。政府指導者、メディアはしっかりとこの事情と向き合い、国民にはっきりと説明する必要がある」と警鐘を鳴らしました。

90年代の「非常時」の再来かと、過敏に事態を報道するものもありますが、外貨事情のひっ迫の規模としては比較にならない低い水準です。しかし、当時と違って多くの観光客がキューバを訪問し、国民は様々な経済活動、生活の自由を享受しています。マロン副編集長が指摘しているように、国民に十分な説明をして、国民とともに困難を乗り切る必要があるように思われます。

(2016年7月7日 新藤通弘)

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2016年6月12日 (日)

アメリカの巨大ラム市場をめぐって、バカルディとハバナ・クラブのたたかい激化

米玖間の国交が回復し、キューバ電話通信公社ETECSAと米国通信会社とのサービス協定、環境保全の協定、直接相互郵便サービス、クルーザーの航行の許可、商業用定期直行航空便サービスの許可、各種米国人訪問客の増加などゆっくりと関係改善が進んでいますが、ラムの販売をめぐって、米国のバカルディ・ハバナ・クラブとキューバのハバナ・クラブの商標権をめぐる確執が激化しています。これまでの経過は、下記を参考にしてください。
http://estudio-cuba.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/vs-4946.html

アメリカのラム酒市場は、2014年23億㌦の利益を生んだといわれるほどの大市場で、バカルディ社は、プエルトリコ、メキシコで製造し「バカルディ」、「ハバナ・クラブ・プエルトリコ」のブランドで6000万ケース販売している巨大企業です。キューバは、ハバナ・クラブは、フランスのペルノ・リカー社を総代理店とし、2015年400万ケースを販売し、今後の販売の急増を予想しています。両者とも米国の経済封鎖が解除されれば、ラム酒の需要が急速に伸びるものと期待しています。

法律的には、米国でのハバナ・クラブの商標を取得し、更新を申請しているキューバ側に分がありますが、バカルディ側はそれを無視して米国内で販売を続けています。

問題は、味ですね。筆者は、キューバ産ラム酒になれているせいか、プエルトリコ産バカルディを飲みましたが、腰がなくいただけませんでした。プエルトリコ・ハバナ・クラブなんていわず、「サンフアン・クラブ」などのブランドで味で勝負してはいかがでしょうか。両方とも日本で買えます。皆さんの判定は、ハバナ・クラブにあがると思いますね。

2016年6月12日 新藤通弘

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2016年1月16日 (土)

論文案内「キューバ経済改革モデルの歴史的性格」

1月15日、キューバ共産党中央委員会第13回総会は、4月開催予定の第7回党大会で討議されるキューバ社会主義発展の経済・社会モデルの概念規定を討議し、承認したと報道されました。順次関連資料が公表されると報じられています。

キューバは、今、経済モデルの歴史的転換を図っています。それは、どのようなものでしょうか。筆者は、下記の論文で素描してみました。関心のある方はお読みください。

『アジ研ワールド・トレンド』2016年2月号掲載論文
キューバ経済改革モデルの歴史的性格
新藤通弘

●はじめに
 キューバ経済は、現在構造的な変容を遂げつつある。一九五九年一月フィデル・カストロが率いる七・二六運動などの広範な勢力は、バチスタ独裁政権に対する戦いに勝利した。勝利した革命は、民主的、民族的な社会を求めて、その後数年間大きな社会変革を行った。現在進められている経済改革は、一九五九年以来形成された経済制度を大きく変えるものであり、歴史的な変化といってもよいであろう。巷間では米国との五四年ぶりの国交回復とその影響を論じて、あたかも米国との国交回復が、キューバ経済に根本的な大きな変化をもたらすという見解もあるが、それは本質的な変化をもたらすものではない。もっと底流で、構造的な変革が二〇〇八年以来、経済改革として行われており、経済の各部門で変化をもたらしつつある。さらに二〇〇九年一二月以降は「キューバ経済モデルの刷新」と呼ばれ、キューバ経済を全面的に点検し、変革する活動が展開されている。
 現在の経済改革は、産業構造、生産様式、生産手段の所有、分配制度、経済の管理制度まで、全面的なものとなっている。以下に、現在の経済改革モデルは、これらの諸点をどのように変革し、どのような経済モデルをめざしているのか、みてみたい。

●一九八〇年代末のキューバ社会とその特徴
キューバは、一九五九年の革命勝利以後、米国と対峙するなかで大半の経済部門を国有化し、戦時総動員体制とも呼ぶべき体制を敷き、ほとんどの経済部門を国が握り、経済構造は市場的要素をほとんど否定した経済制度となった(表1)。そして一九六二年から米国による経済封鎖を受け(現在まで継続)、あらたにソ連圏との経済関係を緊密にした。その後、一九七〇年からカストロ政権は、経済制度の欠陥の調整を図りながら、市場要素を若干考慮した経済管理計画制度(SDPE、キユーバ経済全体を管理し、計画する制度)を一九七七年から導入し、医療、教育などの国民の福祉、社会正義、社会的・経済的平等主義に重点をおいた経済・社会政策を追求した。その結果、一九八〇年代のキューバ社会は、医療・教育、芸術・スポーツ、社会福祉の面で国民生活は著しく向上した。三〇%あった失業率も六%に減少した。平均寿命、乳児死亡率は先進国並みの数字となった。

続きは、上記拙稿をお読みください。

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2015年10月 9日 (金)

国連における米国の経済封鎖解除決議新局面に

国連における米国の経済封鎖解除決議新局面に

1992年から国連総会において毎年行われている米国の対キューバ経済封鎖解除決議、正式には「米国の対キューバ経済・通商・金融禁輸措置を解除する必要性」決議案が、10月27日に国連総会で討議され、採決に付されます。

続きは添付書類を参照。「15.10.09 国連における米国の経済封鎖解除決議新局面に.docx」をダウンロード
「13.10.29 国連68回総会経済封鎖解除国連決議全文.pdf」をダウンロード


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