カテゴリー「経済・政治・国際」の記事

2009年10月 1日 (木)

キューバ情勢講演会お知らせ オマール・エベルレニイ・ペレス教授

「現代キューバ研究所」第1回講演会のお知らせ

国立ハバナ大学オマール・エベルレニイ・ペレス教授来日記念講演会
~革命勝利50周年を迎えたキューバの経済~

革命勝利から50周年を迎えたキューバは、社会主義をめざしつつも、従来の経済モデルと困難な国際経済との狭間で経済的に大きな岐路に立たされています。この度、来日した国立ハバナ大学のオマール・エベルニイ・ペレス教授は、キューバにおいて、一貫して「経済開放」を標榜する改革派の経済学者です。その氏の来日を記念して講演会を開催し、キューバ経済の最新事情についてお話を伺います。キューバ研究においてまたとないチャンスです。ふるってご参加ください!

講 師:オマール・エベルレニイ・ペレス・ビジャヌエバ氏
(Omar Everleny Perez Villanueva)
1960年生まれ。1984年から国立ハバナ大学キューバ経済構造及び経済担当教授、国立ハバナ大学附属キューバ経済研究所副所長。2000~2001年にハバナ市経済担当副市長顧問を務める。おもな著書に「Omar Everleny Pérez Villanueva ed., Cuba: Relexiones sobre su economía, Universidad de La Habana, La Habana, 2002.」(キューバ人経済学者による現状分析)など多数。

言 語:スペイン語 ※日本語通訳つき

日 時:2009年10月17日(土) 15:00~17:00(受付 14:30~)

場 所:明治大学お茶の水校舎リバティ・タワー11階1115教室
東京都千代田区神田駿河台1-1
(最寄り駅/JR線・御茶の水駅、東京メトロ・御茶ノ水駅、新御茶ノ水駅、神保町駅)
会場までの地図:http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html

資料代:1000円(税込) 講演会当日希望者は、受付にてお支払いただきます。

※申込みは不要です。


お問い合わせ >>> ワークショップ内「現代キューバ研究所」 担当/早川幸子
TEL03‐5226‐7718   FAX03‐5226‐7726
E-mail: rq9y-hykw@asahi-net.or.jp

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2009年4月 4日 (土)

ミス・ユニバースとグアンタナモ基地

 先ごろ、ベネズエラの2008年ミス・ユニバース、ダイアナ・メンドーサ(22歳)さんが、キューバにある「グアンタナモ米海軍基地」を訪問し、「タアアイヘン楽しかった」とミス・ユニバースのホームページ内のブログに書いて、ベネズエラ国内でまた国際的にも物議をかもしている。090404_dayanamendozaindex

 ダイアナさんは、米軍の招待で、同基地を訪問、その感想を、「基地はリラックスでき、静かで、美しかった」。海は「信じられないほどスゴークきれいで」、軍用犬は「大変かわいく」、収用所キャンプ、監房は「映画も楽しめ、すべてが大変興味深いものだった」と、率直に書いた。
 しかし、この表現は、たちどころに国際的な非難の対象となり、このブログが問題となるや、ミス・ユニバースは、ブログをすぐさま削除して、ダイアナさんの感想は、「同基地の兵士とその家族の親切さについて」述べたものであり、決して監房についての判断を含むものでないと弁明し、問題がこれ以上大きくなることを避けようとした。
 もともと、このグアンタナモ基地は、キューバ独立戦争の末期に米西戦争を引き起こし、キューバに留まった米軍が、撤退を条件にキューバに基地貸与を認めさせたものである。1959年の革命勝利後、キューバ政府は基地返還を要求しているが、米政府はそれを無視して、米国が無期限に居座っている(詳細は、本ブログ、1月2日付け「グアンタナモ米海軍基地とはなにか」を参照)。軍事的には、現在の軍事技術の水準では時代遅れのものとされている。しかし、米政府は返還要求を無視するどころか、2002年1月ブッシュ政権は、キューバ領内にあるという理由で、米国の国内法が適用されないと強弁して、アフガニスタンの「テロリスト容疑者」をグアンタナモ基地に移送して、尋問を行い「テロリスト」についての情報を得るために利用した。090404_guatanamo

 現在でもアフガニスタン人をはじめ様々な国籍の約240名が長期に拘留されている。収用所での拷問を含む尋問のすさまじさは、国際的な批判を浴び、さすがにオバマ新政権は、収用所を来年1月までに閉鎖すると発表せざるをえなかった。
 こうした国際的な非難にされているグアンタナモ基地にミス・ユニバースを招待するのもおかしな話だが、その訪問での印象を、「タアアイヘン楽しかった」と報告するのも、無邪気さを通りこして、あきれたものである。彼女は、すっかり、マスコミの物笑いの種となってしまった。今後、テレビ番組のコメンテーターに予定されているが、知的水準を危惧する人も少なくない。
 さすがに、ベネズエラでは、「今後は、ミス候補者は、総合的に優れた人を選ぶようにしなければならない。何年か前に、あるミス・ベネズエラは『私、ウイリアム・シェクスピアの音楽が大好きなの』と述べたことがあるから」と、新聞記者のアナ・カリーナさんは述べている。一方では、フェミニストの人々からは、美人コンテストの存在そのものもあらためて、批判の対象とされてもいる。
 しかし、批判は、それだけに留まらず、「ダイアナを監獄に入れろ」とか、「休暇にはグアンタナモに行こう。タアアイヘン楽しいから」とインターネットでコメントが流れている。ラテンアメリカでは、グアンタナモ基地が、当然キューバに即時返還されるべきであり、米軍はイラクやアフガニスタンなどへの他国への干渉をやめるべきだという意見が大半を占めている。こうした21世紀の国際常識からすれば、国際人の資格としては、一定の教養と、さらに自主独立の政治性が要求されるということかも知れない。

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2009年1月24日 (土)

フィデルの健康状態とオバマ政権についてのキューバ側の見方

フィデルの健康状態とオバマ政権についてのキューバ側の見方

本ブログでは、キューバのニュースを逐一知らせるものでなく、一定の時間が経過した事象を分析・研究するものであるが、フィデルの健康状態とオバマ政権についてのキューバ側の見方については、関心も深いこともあり、現在の状況を紹介しよう。以前にも述べたが、憶測や噂に基づいたニュースを扱うつもりはなく、正式機関で発表された、いわば一次史料(資料)をもって説明するのが筆者の方針である。

1)フィデルの健康状態
① 1月21日、フィデルは、クリスティーナ・フェルナンデス大統領と40分会談した(フィデルの省察「クリスティーナとの会見」Granma, 09.01.22)。なお、この会見の写真は、1月22日、アレハンドロ・ゴンサーレス外務次官が特別使者としてベネズエラに派遣され、チャベス大統領との夕食会の席上、クリスティーナ大統領に手渡された(Juventud Rebelde 09.01.23)。

グランマ紙掲載の写真。
090123_g_cristina_fidel

② クリスティーナ、「フィデルは元気ですよ」とのべる(Granma, 09.01.22)。「フィデルは、紳士として、立って出迎えてくれました」(AP, 09.01.22)。(岡注:病床ではなかったの意味)。

③ ラウル議長、「フィデルは、クリスティーナ大統領としばらく話し合った。元気だ。体操を行い、いろいろ思索をめぐらし、多くの文書を読み、私に参考意見をいってくれ、協力してくれている」(Granma, 09.01.22)。

④ ラウル、新聞記者たちに「あなたがたは、もしフィデルが重病だとすれば、私がにこにこしていると思うかね。近くヨーロッパを訪問する。あなたがたは、もしフィデルが重病であったら、私がキューバを空けることができると思うかね。フィデルの健康については、噂を書くのをやめてほしい」とのべる」(La Jornada, 09.01.22)。
(岡注:ラウルの訪ロは、1月31日に行われる(Novosti, 09.01.23)。

⑤ フィデルは、省察「11人目の米国大統領」で、「今後、党や政府の同志の仕事への干渉となったり、邪魔となったりしないように、このところの省察は短く書いている。しかし、同志は、私の時折の省察、私の重病や死亡に縛られないでほしい。これまで長い間、いろいろ重大事件を見てきて、考察してきたが、オバマ大統領が任期を終える4年後には、そうした機会に恵まれないかもしれないとも思う」と述べた(Granma, 09.01.22)。

2)キューバ政府のオバマ新政権の見方
じつは、オバマ大統領は、就任式の2日前にベネズエラの保守系テレビ局「ビシオン」とインタビューを行い、「チャベスは、ラテンアメリカの進歩を阻害している。ベネズエラはテロ活動を輸出しており、FARC(コロンビア革命軍、コロンビアの反政府武装勢力)を支援している」とチャベス政権を厳しく批判した(岡注:チャベス大統領はFARCを支持しないことを公式に認めている)。

同時にキューバについては、「旅行と送金の制限を緩和する用意がある。しかし、経済封鎖は解除しない。ラウル・カストロ政府が、キューバで個人の自由を改善する用意があるならば、対話する」と、キューバとの対話に「人権問題の改善」という条件をつけた(EFE, 09.01.19)。なお、キューバ側は、当然のことながら、対話は双方が無条件で行わなければならないとう原則を繰り返し述べている(本ブログ、1月17日「フィデル・カストロ前議長の健康と米玖関係」参照)。

さて、オバマ大統領の就任式のあと、キューバ政府首脳陣はどう述べたか。

① キューバのマスコミではキューバ共産主義青年共産同盟機関紙、Juventud Rebelde紙のみが電子版でオバマ演説全文を掲載。他は、簡潔な客観的な報道記事であった(09.01.20)。

② アラルコン国会議長(キューバの対米交渉の責任者)、「演説は、大変興味あった。良くできている。なかなかの演説家だ。今後の政策はいろいろな疑問がある」と述べる(La Jornada, 09.01.21)。

③ フィデル、1月21日、省察『クリスティーナとの会見』を執筆し、「オバマが正直な人物であることは疑いをもっていないと前に述べたが、演説を聴いていていろいろな疑問が湧いた。例えば、あれほどの浪費・消費社会でどうやって環境を維持するのであろうか」と述べる(Granma, 09.01.22)。

④ ラウル議長は、「良い人物のように思える。成功を期待している」と述べた(La Jornada, 09.01.22)。

⑤ ラウル議長は、「グアンタナモ収容所の閉鎖をわれわれは要求してきたが、それだけでは不十分で、グアンタナモ基地のキューバへの返還こそ、キューバが望むものである。現在は、軍事的にもこの基地は意味がない」とのべた(Tass, 09.01.22)

⑥ フィデルは、省察「11人目の米国大統領」で、「オバマが米国を自由のモデルの国の変えること、世界の人権の尊重、各国の独立の尊重を確認したとき、だれもその真摯さを疑うことはできないだろう。しかし、まだオバマは重要な問題と対面したわけではない。近いうちに、その手にある巨大な権力が、体制と対立する解決不可能な矛盾を克服するためにはまったく役に立たないとき、オバマはどうするだろうか」と根本的な疑問を提起している(Granma, 09.01.23)

こうしたキューバ政府首脳陣の発言、コメントは、オバマ大統領の「ビシオン」とのインタビューを考えると、非常に抑制されたものである。以前に「本ブログ、1月17日フィデル・カストロ前議長の健康と米玖関係」でも述べたが、キューバ側の原則的立場ははっきりしている。国際的な常識である、無条件、対等、平等、相互尊重の原則に基づいた対話である。原則がはっきりしていることから、過度の期待も、過度の敵意もなく、冷静な態度で、オバマ政権の具体的政策を見てみよう、それまではあえて論評する必要もないというものである。

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