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2019年8月29日 (木)

ニカラグア人のコスタリカ移住

ニカラグア人のコスタリカ移住

 

本日ある報道で、「ニカラグアからコスタリカに政治的弾圧を逃れて、約3万人が流入した」と報道されました。しかし、実態はどうでしょうか。ニカラグアと対立関係にあるコスタリカ外務省のこの発表を鵜のみにして「政治的弾圧を逃れて」と報道したことには、真実を究明する真摯な態度がうかがわれません。

 

かつて、小生は次のように書いたことがあります。

「なお、コスタリカへの不法入国者の扱いについて、一言触れておきたい。ニカラグアからコスタリカに不法入国した人々は約30万人といわれているが、これらの人々はニカラグアからの難民ではなく、職をもとめて、またほぼ6倍近いコスタリカの賃金を求めて不法入国した人々である 。コスタリカの雇用者側も、不法入国者を平均賃金よりも安く雇用することができ、双方の必要性が一致して、大量に不法入国したと考えるのが現実的であろう。こうした事例は、年間100万人以上と言われるメキシコからのアメリカへの不法入国などにも見られる現象と同じものである 」。拙稿「最近のコスタリカ評価についての若干の問題」『アジア・アフリカ研究』2002年第2Vol.42, No.1 (通巻364号)、アジア・アフリカ研究所刊

 

現在でも約30万人のニカラグア人がコスタリカに移住しています。また、その他に10万人が違法に滞在し、安価な賃金と差別を受けながら労働に従事しています。昨年4月からの騒擾事件でコスタリカに入国した人数は、約3万人といわれていますが、8割は帰国を希望しているといわれています。脱出への狂乱ブームの中で、経済的理由であるのに、政治亡命なら簡単にビザが出ると思い、コスタリカに入国したものの、仕事が見つからず、帰国しようというものです(19.05.11 Confidencial、保守派の新聞でさえ、このように事実を報道しています)。つまり、「政治的対立」で脱出したものは6,000人程度と思われますし、その内の大多数は、遠からず無罪で帰国できるとオルテガ政権の寛容政策を見越して出国したものでしょう。3万人のうち、7割近くが青年でそれも大卒だったことが、このことを物語っています。

 

2019829日 新藤通弘)

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