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2013年6月 8日 (土)

キューバ共和国憲法、翻訳される

キューバ共和国憲法、翻訳される

待望久しかったキューバ共和国憲法2002年版が、翻訳されました(吉田稔「キューバ共和国憲法―解説と全訳―」、早稲田大学比較法研究所機関誌『比較法学』第47巻第1号、通巻第101号)。吉田教授は、これまで、ボリビア憲法、エクアドル憲法を翻訳紹介されてきましたが、この度、念願のキューバ憲法の全訳を完成されました。吉田教授の労を多としたいと思います。

キューバは、1959年1月に5年にわたるバチスタ独裁政権に対する闘いの勝利前後から、政治・経済の民主化を図る中で、米国企業、その利益を代弁する米国政府と熾烈に対峙しつつも、主権を維持してきました。そして、その過程で独自の政治・経済・社会体制を築いてきました。筆者は、それを資本主義社会から離脱しつつ、社会主義社会をめざす移行期(過渡期)社会で導入された総動員体制と考えています。

憲法には、第1条で「キューバは、勤労者の社会主義国家、独立した主権国家であり、統一した民主国家として全国民によって全国民の幸福のために組織され、政治的自由、社会正義、個人及び集団の福祉、人々の連帯のために組織された国家である」と述べていますが、筆者は、それは社会主義社会をめざす意気込みを表明しているもので、そのまま社会主義社会となっていることを意味するものではないと理解しています。

おりしも、ベトナムで、現在、国名を「ベトナム社会主義共和国」から、「社会主義」を削除して、「ベトナム民主共和国」に変更するかどうかが議論されていますが、「(「社会主義」を削除した)国名にすると、社会主義への道という目標を捨てたと曲解される」として、現在の国名変更は、国会で提起されませんでした。

「ベトナムは、国名は『ベトナム社会主義共和国』ですが、ベトナム共産党は『わが国は社会主義への移行期(過渡期)にある』と規定しています。ベトナムは、社会主義への移行は時間がかかるという判断の下で、いかに生産力を発展させるかに苦闘しています。日本からベトナムを訪問して、深刻な汚職や経済発展の偏り、社会福祉の遅れに失望する方々がいますが、ベトナムはまだ一人当たり国民所得が1,260ドルの発展途上国であり、これらの問題は、途上国では避けがたい現実です。日本国内で慣れ親しんだ「物差し」で安易に判断すると間違いのもとになります」と、『しんぶん赤旗』のハノイ支局長の面川誠さんは、興味深い指摘をしています(「軍事同盟に飼い慣らされない視点」、『前衛』2013年7月号)。

さらに、キューバは、憲法第5条では、「キューバ共産党は、キューバ国民の前衛組織であり、社会と国家の最高指導勢力である」と、時代錯誤的な規定が残っています。こうしたキューバ社会の性格を徹底して議論するためにも、キューバ憲法の翻訳が待たれていました。この翻訳が活用されて、一層キューバ社会の性格規定が深化することを希望しています。

(2013年6月8日 新藤通弘)

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