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2013年3月

2013年3月28日 (木)

キューバは、税金が少ない国?

キューバは、税金が少ない国?

最近ある新聞に、またまたキューバ在住のAさんの牧歌的な記事がでていました。
「テクノロジーセンターでは、ワクチンや各種パテント(特許権)がとても多く輸出されていることを知り、キューバの税金の少なさが理解できました。知的財産で稼いで国民に福祉などを保障しているのでしょう」。
と、Aさんは、いつものようにキューバに自分の思いを込めて過度に賛美して、述べています。

かつて、北朝鮮は、「世界で唯一の税金のない国」と宣伝して、世界のエコノミストたちの失笑を買いましたが、今度は、Aさんによると、「キューバも税金が少ない国」で、それは「ワクチンやパテントを輸出して」、「その収入を福祉に回しているから」だとのことです。キューバ在住という触れ込みのAさんの記事には、キューバ在住にしては不正確なことが多く、先般も、「キューバでの税関で電気製品の持ち込みに要注意」と勧告していましたが、実際は、電機製品の持ち込みはほぼ自由で、電機炊飯器の電気容量は、特に制限もありません(本年1月17日付キューバ、家電持ち込みに心配は不要!」参照)。

それはともかく、実際にキューバは、税金の少ない国なのでしょうか。一般に税金の多少は、租税負担率で示されます。これは、租税収入を国民所得で割った率で計算されます。2011年キューバの総国民所得は、689億ドルで、総租税収入は265億ドルでしたので、租税負担率は38.4%となります。

世界的に租税負担率を見ますと、日本が24.3%、米国が24.0%、イギリスが36.2%、ドイツが30.4%、フランスが36.8%、スエーデンが46.9%ですから、フランスをしのぎ、北欧諸国並みの高負担率といえます。これは、キューバの基本的に無料である医療制度、教育制度が困難を抱えながらも重点政策として維持されていることに照応します。ちなみに国民負担率は、公式な数字は発表されていませんが、筆者の推計では60%を超えており、これも北欧並みでしょう。キューバはとても税金が少ない国、とはいえません。そもそも一国で税負担が少なく、高福祉を維持することは、どのように財政的に可能なのでしょうか。Aさんには常識的に考えてほしいものです。

さらにキューバ国民一般は、生活用品のほとんどを外貨ショップで買わなければなりません。その外貨ショップは、国営商店で、専一的に販売価格を決めており、200%以上の手数料が乗せられています。これらは、高い収益を政府に還元して、医療や教育の経費に回すためだと説明されています。しかし、一般の市民、あるいは学者までも、この利益を200%の税金と呼んで、キューバは高税金の国だと不満を述べています。キューバで働かず、日本での収入をキューバに持ち込んで生活しているAさんには、このキューバ市民の声が聞こえないのでしょうか。

それでは、もう一つの問題、果たして、キューバは、医薬品や知的財産を多く輸出し、それが社会福祉経費に回っているのでしょうか。2011年のキューバの財(モノ)の輸出総額は、60.4憶ドルです。内訳は、砂糖関連製品が3.9億ドル、鉱物(主としてニッケル)が、14.1億ドル、タバコが2.2億ドル、水産物が0.7億ドル、農産物が0.2億ドル、その他が39.2億ドルです。医薬品は、この「その他」の中の7億ドル程度です。輸入は139億ドルで、貿易収支の赤字80億ドルをサービス収支で補っています。

パテントの輸出額は、公式統計上ありませんが、無視できる程度なのです。サービス輸出が、合計119億ドルありますが、大半は、医師などの派遣70億ドル程度、観光収入25億ドル程度などが主であり、これまで特許輸出が大きな外貨収入源となっていることは、読んだこともありません。キューバの特許で、海外で生産されている医薬品は、まだまだ少数なのです。

なお、キューバから医薬品、特許を輸出する場合、ビオ・クーバ・ファルマなどの国営企業から輸出しますので、その企業の収益税の形で税収があるので、どの程度か把握できますが、現在のところそうした収益税が大きな歳入源-となっているという報告はありません。

キューバは、昨年11月に新租税法を制定し、経済改革の中で現れている民間部門からの様々な税収(個人所得税、売上税、収益税など)をどう確実なものにするか、自営業者の所得税、労働力使用税、社会保障税をどう公平に徴収するか、納税文化の普及に懸命に取り組んでいるところです。そこには、キューバは、税金の少ない国といった観念が入る余地はありません。

(2013年3月27日 新藤通弘)

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2013年3月24日 (日)

“ラテンの話しと音楽のつどい” BY 三多摩AALA

“ラテンの話しと音楽のつどい” BY 三多摩AALA

ラテン音楽とラム酒を楽しみ、各国の現状の説明で中南米の国々を巡る

国立駅前の桜が見ごろの3月30目、中南米研究者の新藤通弘先生と、中南米出身の二人の一流プロのラテンミュージシャン、ペドロ・バージェ(サキソフォン・パーカッション)とアレハンドロ・パラシオ(ギター)を招き、「ラテンのつどい」を開催します。キューバのラム酒や熱帯のドリンクを味わいながら、新藤先生の解説で中南米の国々の現状と展望を学び、それぞれの国の代表的な生の音楽を楽しみます。終了後は、国立駅前の花見も良いものでしょう。

■主催 日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ委員会(日本AALA)三多摩連絡会
■日時 3月30日(土) 18:15-20:15
■場所 国立商協ビル2階「さくらホール」
住所 国立市 東 1-4-6 TEL:042-572-1730国立駅南口徒歩3分
JR国立駅南口より旭通りに入り、最初の角を左折して国立デパートの隣にある商協ビルの2階です(国立駅より徒歩3分)。
http://www.k-shokyo.com/k-shokyo/access.html
■内容 新藤先生が、中南米の主要国10カ国を紹介。ミュージシャンが、それぞれの国の代表的音楽を演奏、つぎつぎを10カ国を巡ります(約10曲)
■会費 1000円(ラム酒など飲み物、軽食代) *飲食物の差し入れ歓迎
■要申し込み FAXが電話で、名前、人数、連絡先電話を、下記宛てお願いします。
★FAX042-676-1997★電話、090-1256-2377 松井幸博

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