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2011年10月 6日 (木)

レネ・ゴンサーレスさん、釈放へ

レネ・ゴンサーレスさん、釈放へ

1998年、米国でスパイ罪で逮捕され、15年の刑期で服役中のキューバ諜報員のレネ・ゴンサーレス・シワラートさんが、13年(85%)経過しましたので、7日(金)に釈放される予定です。

レネ・ゴンサーレスさんは、1956年シカゴ生まれで、1961年に一度キューバに帰国しましたので、米国とキューバの二重国籍をもっています。彼は、米国におけるキューバ側の諜報組織の「アビスパ・ネット」の一員として、他の4名とともに、マイアミで反キューバ過激派勢力のキューバ破壊計画を探るため諜報活動を行っていました。

そうした中で、1996年マイアミの亡命キューバ人過激派組織「エルマーノス・アル・レスカーテ(救援のための兄弟)」がキューバに航空機で侵入するとの情報を入手し、キューバ当局に通報した結果、航空機2機がキューバ軍により撃墜され、乗員4名が死亡するという事件が起きました。5名は、スパイ容疑で逮捕され、ゴンサーレスさんは、破壊謀議、外国諜報機関のエージェント隠蔽、IDカード偽造の罪で、懲役15年の判決を受け、服役しました。

ゴンサーレスさんも、他の服役中の4名、ヘラルド・エルナンデス・ノルデロ(刑期無期2期+15年)、ラモン・ラバニーニョ・サラサール(刑期30年)、フェルナンド・ゴンサーレス・ジョル(刑期18年)、アントニオ・ゲレーロ・ロドリゲス(刑期22年)とも、キューバの諜報機関のエージェントであることは認めていますので、まったくの冤罪というわけではありません。しかし、諜報活動の内容からすれば、5名とも過剰な量刑ですし、裁判も、反キューバ感情が強いマイアミで行われるという問題もありました。また拘置中も取り扱いに不当な処置があることが指摘されています。

本年9月16日、フロリダ裁判所のジョアン・レナール判事が、ゴンサーレスさんの釈放後の即時キューバ帰国を認めず、釈放後3年間米国に留まり、保護観察を受けなければならないと決定しました。一般には米国では、外国人犯罪者は、釈放後は国外追放となるのが普通ですが、ゴンサーレスさんは、米国国籍ももっていますので、米国法が適用されることになります。しかし、仮釈放後、ゴンサーレスさんが、再度即時の帰国を申請し、許可される余地は残っています。

キューバ政府は、先週、反キューバ過激派勢力が多いマイアミでは、ゴンサーレスさんの安全は保障されないので、即時に帰国を許可するようオバマ政権に要求しています。

一方、マイアミの反キューバ過激派勢力を代表する、フロリダ州選出の共和党下院議員、イレアーナ・ロス=レチネン議員(下院外交委員会委員長)は、「ゴンサーレスは、米国の敵であり、厳重な監視が必要である」と主張しています。しかし、それほど危険な人物であれば、すぐさま国外退去させた方が、米国にとって安全ではないかと、ゴンサーレスさんの弁護士は述べています。

米玖両国は、熾烈な対決の歴史の中で、双方が少なからずの諜報員を相手国や、自国内の反政府派に送りこみ、諜報活動を行っています。それぞれの国で、外国人の諜報活動をどう規制するか、処罰するかは、それぞれの国に独自の法律があり、複雑な問題です。残りの4人は、米国の国内法からすれば、無実ではありませんが、刑期的には、米国内で最早や十分刑に服したのではないかと一般には考えられています。人権の観点からすれば、早期の釈放が望ましいでしょう。

また、同じように。米国の諜報員として、2009年キューバでスパイ活動を行い、逮捕され、現在15年の刑期で服役中の米国人アラン・グロスさんについても、過剰な量刑が指摘されています。彼の場合も、人道的観点から、早期の釈放が適切と言われています。両国政府は、水面下でいろいろ交渉を行っているようですが、早期に円満に解決され、米玖の関係改善が進展することが期待されています。

(2011年10月6日 新藤通弘)

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