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2011年9月15日 (木)

米国の仕掛けた土俵には上がらない?キューバ政府

米国の仕掛けた土俵には上がらない?キューバ政府

(1)14日、キューバ政府は、昨年末時点で、米国の対キューバ経済封鎖による累積被害が、1962年以来1,040億ドル(時価評価額で9,750億ドル)に達することを公表しました。昨年は、累積損害は1,001億ドル(時価評価額7,513億ドル)でした。この1年のドルの対金相場の下落により、時価計算では、30%増大したことになります。報告書を発表した、アベラルド・モレーノ外務次官は、過日のオバマ発言をもじって、「オバマ大統領の対キューバ措置は、経済封鎖政策を継続しており、渡航や送金制限の緩和、キューバへのチャーター便の許可で別な形を示そうとしてきたが、極めて不十分で、まったく限定的なものである」と批判しました。米国の経済封鎖政策の可否は、例年通り、国連総会の討議に付される予定です。このニュースは、国内の各紙、テレビでも報道されました。

(2)また、国内では報道されていませんが、国際報道によると、14日、ホセフィーナ・ビダル・フェレイロ外務省北米局長が、オバマ発言で批判された、キューバで騒乱幇助罪で15年の刑期で服役中のアラン・グロスの問題について説明を行いました。

一方、それに先立ち、リチャードソン元ニューメキシコ州知事(クリントン政権の国連大使)は、ハバナ市のホテル・ナショナルで記者会見を行い、「グロス契約者と会えず、またキューバ政府とグロスの件で討議もできず、大変失望して帰国する」と述べました。さらに、同氏は、「私の結論は、恐らくキューバ政府は、米国との関係を改善したくないと決定したということである。グロス問題を討議するために自分をキューバに招待したのは、キューバ政府であるが、キューバ到着直後に、グロスには会えない、彼を一緒に帰国させることはできないと述べた」と強調しました。さらに、同氏は、「オバマ大統領は、キューバとの関係改善を図ろうとしたが、キューバ政府がそれに耳を貸さず、単にグロス氏の件を討議する機会も与えないようでは、それは大変難しいであろう」と述べました。

ビダル局長は、リチャードソン元ニューメキシコ州知事(クリントン政権の国連大使)が、グロス受刑者と面談できずに帰国したことについて、記者会見で、次のように述べました。
1. リチャードソンのキューバ訪問は、まったく私的な個人的なものであった。
2. グロス受刑者との面談、釈放問題は前もって申請されていなかった。
3. さらに、元州知事は、グロスを「キューバ政府の人質」と位置づけた。
4. グロスと会わずにはキューバから出国しないと公的に述べたことは、キューバ政府にとって不愉快であった。キューバは、主権国家であり、いかなる脅迫や圧力、大国主義的態度にも屈しない。
5. キューバ政府は、これまでキューバを訪問した米国人に人道的立場から私的で、非公開で、尊重した形で受け入れてきた。

リチャードソン元州知事の訪問目的が、双方の間で事前に明確に合意されていたかどうかは、双方の見解が分かれているようですが、「グロスに会わずには出国せず」と公に啖呵を切った形なった元州知事の張り切り過ぎが見られるようにも思われます。

モレーノ外務次官の記者会見でも、ビダル外務省北米局長の記者会見でも、オバマ大統領の発言の一番の中心点、経済改革への干渉的発言問題は、まったく触れられませんでした。モレーノ外務次官の記者会見では、質問は、経済封鎖問題に限ることと、最初に釘が刺されたとのことです。キューバとしては、米国から仕掛けられた、土俵に上るつもりはないということでしょうか。さて、米玖関係は、今後どう展開していくでしょうか。

(2011年9月15日 新藤通弘)

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