CEPAL、ラテンアメリカ・カリブ海地域へのODA(政府開発援助)は、再考されるべきと報告
CEPAL、ラテンアメリカ・カリブ海地域へのODA(政府開発援助)は、再考されるべきと報告
8月10日―11日、チリのサンチャゴで、ラテンアメリカ・カリブ海経済委員会(CEPAL)主催により、ラテンアメリカ・カリブ海地域協議会が開催されました。同協議会で、アリシア・バルセナCEPAL事務総長は、ラテンアメリカ・カリブ海地域(ALC)へのODA(政府開発援助)は、再考されるべきと報告しました。
報告要旨は、次の通りです。
ラテンアメリカ・カリブ海地域のODA受取額は、2010年国民総所得の0.32%であった。しかし、2002年のメキシコのモンテレイ国際会議及び国連ミレニアム開発目標の第8目標で合意された0.7%まで増加する必要がある。
ラテンアメリカ・カリブ海地域(ALC)へのODAは、2009年世界総額の7%であった。一方アフリカは37%、アジアは30%であった。
所得による分類は、大部分のALCが属している中所得諸国の各国の特質性に対応していない。ALC諸国は経済的、社会的に前進しているが、内部で生み出された資金力は未だ十分ではない。したがって、国際的な、総合的、透明な、合法的支援が必要である。
国際的支援の仕組みとして、国際的な金融・石油取引への課税、航空機乗客連帯税等の現行の方式が討議された。また、協力と開発の金融を通じた貿易を推進する重要性も討議された。南南協力、三角協力は、重要な補完的なものであるが、ODAに代わるものではない。地域の金融統合を強化することも提案された。
各国は、税制改革、地域の発展のための銀行の再設置が必要と考える。
各国は、構造的課題、所得格差を改善するうえで、依然として、経済的、社会的保護の不平等、不十分な教育と職業訓練、生産性の問題、投資不足、系統的な融資の受取が困難、不十分な財政・税制などの問題を抱えている。
これらの問題は、低所得国のみが抱えているのでなく、中所得国も抱えている。
なお、アリシア・バルセナCEPAL事務総長の報告は、下記を参照ください。
スペイン語版:
要旨:
http://www.eclac.org/cgi-bin/getProd.asp?xml=/prensa/noticias/comunicados/7/44247/P44247.xml&xsl=/prensa/tpl/p6f.xsl&base=/tpl/top-bottom.xsl
報告:
http://www.eclac.cl/noticias/paginas/8/33638/ABfinanciamientodeldesarrolloFINALpptx.pdf
英語版:
http://www.eclac.org/cgi-bin/getProd.asp?xml=/prensa/noticias/comunicados/1/44251/P44251.xml&xsl=/prensa/tpl-i/p6f.xsl&base=/tpl-i/top-bottom.xsl
「日本のODAの現状とラテンアメリカ」については、2010年1月22日付本ブログでも紹介した雑誌『経済』2010年1月号掲載の前田恵理子論文を参照ください。
「日本政府の対キューバODA政策」については、2010年7月10日付本ブログの拙稿を参照ください。
(2011年8月14日 新藤通弘)
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