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2011年4月

2011年4月25日 (月)

キューバ経済研究所・東京学習会議資本論委員会合同シンポ(2)

3月2日―3日、キューバのハバナ市で、ハバナ大学付属キューバ経済研究所と東京学習会議資本論委員会の共催で、「マルクス主義の古典と、日本、キューバ、東アジア及びラテンアメリカ」というテーマで合同シンポジウムが開催されました。以下にキューバ側の発言のいくつかを紹介します。

ラサロ・ペーニャ・カステヤーノス、国際経済調査所所長、「アメリカ経済―グローバル蓄積モデル―の危機とその後の状況」(要約)

「11.02.16 ラサロ・ペーニャ「アメリカ経済―グローバル蓄積モデル―の危機とその後の状況」word 2003.pdf」をダウンロード

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2011年4月22日 (金)

オッペンハイマーの予見力

オッペンハイマーの予見力

前にも書いたが、アンドレス・オッペンハイマーといえば、かなり知られたラテンアメリカ問題専門のジャーナリストである。アルゼンチン出身で(1951年生まれ)、1985年からマイアミに居住し、現在は、マイアミの保守系有力紙「マイアミ・ヘラルド」のコラムニストである。筆力があるので、人気があり、世界で幅広く読まれている。

しかし、内容は、社会主義や左翼に対しては、偏見や憎悪に基づいた主観的なものが多く、2010年4月10日付で、「オッペンハイマーとたわごと」と題して、批判したことがある。先ずは、それを読んでいただきたい。彼の分析や予測が当たっていなかったことがわかるであろう。

今回、彼は、キューバ共産党第6回大会で承認された経済政策、人事政策について、3人の専門家の意見を紹介、分析し、独自の予見を展開している。

続きは、以下PDFをご参照ください。

なお、本ブログの昨年4月10日付の「オッペンハイマーのたわごと」も参考に読んでみてください。

「11.04.22 オッペンハイマーの予見力.pdf」をダウンロード

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2011年4月21日 (木)

キューバ共産党第6回大会、4日目、最終日

キューバ共産党第6回大会、4日目、最終日

第6回党大会は、19日最終日に中央委員115名を選出し、第1回中央委員会総会を開催し、中央委員会第一書記、第二書記、政治局員15名を選出しました。

閉会式には、フィデル・カストロ前第一書記がジャージー服姿で出席し、満場の拍手を受けました。フリオ・カマチョ中央委員が、第一書記にラウルが選出されたことを報告、続いて、ラウル第一書記が、マチャード中央委員が第二書記に選出されたことを報告し、15名の政治局員を一人ずつ紹介しました。そして、マチャード第二書記が、2012年1月28日に全国会議を開催するとことを宣言しました。閉会演説は、ラウル第一書記が行い、フィデル前第一書記は発言しませんでした。大会は、最後に、インターナショナルを代議員全員が歌って閉幕しました。

続きは、別添のPDFを参照ください。
「11.04.19 キューバ共産党第6回大会閉幕.pdf」をダウンロード

なお、大会の名称は、「キューバ共産党第6回大会」で統一します。

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2011年4月19日 (火)

キューバ共産党第6回大会、第3日目

キューバ共産党第6回大会、第3日目

キューバ共産党第6回大会は、3日目の18日、3つの決議と1つの合意をそれぞれ満場一致で採択した。採択された決議は、「党と革命の経済・社会政策路線について」、「キューバ共産党第6回大会への中央報告について」、「人民権力議会、選挙制度、政治行政区分の改善について」である。

「党と革命の経済・社会政策路線についての決議」は、草案のタイトルは、「経済・社会政策路線案」であったが、決議では、これに「党と革命の」という文言が付けくわえられている。

経済・社会政策路線決議は、マリーノ・ムリージョ代議員(閣僚評議会副議長、前経済・企画相)によって提案された。決議は、次のことを強調している。
 経済制度では、基本的生産手段の全人民的社会主義所有が優先する。
 社会主義において、計画が優先する一方、市場の諸傾向も考慮する。
 社会主義国営企業、外国資本との合弁企業、協同組合、小農、国有地請負農、借地農、自営業者などの多様な形態を推進する。
 社会主義は、権利と機会の平等を意味するが、平等原理主義を意味しない。

「中央報告についての決議」は、ミゲル・ディアス=カネル・ベルムーデス代議員(党政治局員、高等教育相)によって提案された。大要は次の通りである。
 われわれの非組織性、官僚主義、丸抱え主義、前もっての対策と要求の欠如など、弱点も明確に指摘している。
 ラウル同志は、各幹部、党員の行動の規範を示している。
 党による国家の指導に関する構造的な誤りを正しく批判するとともに、党の幹部政策の弱点を一掃する重要性を提起している。
 対外政策としては、われらがアメリカ及び第三世界の統合を呼び掛け、米国とのあらゆる問題を交渉する意思があることを提起している。

決議「人民権力議会、選挙制度、政治行政区分の改善について」は、リカルド・アラルコン代議員(党政治局員、国会議長)によって提案された。大要は次の通りである。
 経済・社会政策路線を導入するためには、地方議会である県議会、基礎行政区議会の権限の検討が必要となっている。
 基礎行政区に大きな自治権を認めることが必要である。
 そのためには、新たに政治行政区分の調整が必要であり、大都市の県都、とくにハバナ市の機関を検討する必要がある。

また、大会は、新たな中央委員の選出のため、投票を行った。大会は、19日に、18日の投票に基づき中央委員を選出したあと、直ちに第1回中央委員会を開催し、党第一書記、第二書記、政治局員、書記局員が選出される予定である。

18日正午頃、フィデルも、中央委員候補リストと投票用紙を自宅で受け取り、投票した。フィデルは、投票後の午後4時過ぎ、省察「私が中央委員会にいないことについて」を書いている。この省察は、もはや組織的に公式に中央委員でなくなること、つまり中央委員会第一書記でなくなることから、珍しく心情を吐露したものとなっている。

その中でフィデルは、次のように述べている。
「重要な政治的、国家的地位の任務は、五年二期に限る」考えに賛成した。これは、私がいろいろ考えてきたテーマであった。革命当初から執務室で外信を読み、諸党や人びとの成功と誤りを見てきた。

実際、いつまで国家評議会・閣僚評議会議長、党第一書記の役割を続けるかということは考えたこともないと、告白しなければならない。

年齢や健康から党で十分活動できない同志もいる。しかし、ラウルは、彼らを候補者リストから外すことは厳しすぎると考えていた。私は、迷わずそうした名誉ある同志を外さないように勧め、最も重要なことは、私がそのリストに現れないことだと付け加えた。

以上が、本日までの大会の記録である。
(2011年4月19日 新藤通弘)

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2011年4月18日 (月)

キューバ共産党第6回大会開催される(2)

経済・社会政策路線案は、17日より、下記の5つの分科会で討議が進められている。

第1委員会:経済活動モデル。社会主義計画、国営企業、政府・国家機関の制度変革の導入、国営企業、合弁企業、共同組合の経営のあり方
第2委員会:マクロ経済政策。海外からの投資、国内生産の推進、外貨取得の推進。技術革新。
第3委員会:社会政策。革命の社会的成果の評価と検討。持続可能な社会サービス政策。
第4委員会:農工業政策、運輸、商業。
第5委員会:工業、エネルギー、水資源、建設、住宅、観光。


ラウル第二書記の中央報告の続きは、下記の通り。主要な点のみを記す。

路線案の原案は、291項目あったが、修正の結果、合計311項目となっている。原案の68%が修正された。

路線で最も議論された項目は、第6章「社会政策」、第2章「マクロ経済政策」で、これらで討論の50.0%2達した。

第162項、配給制度の廃止、第61・62項、価格政策、第262項乗客輸送、第133項教育、第54項通貨の統一、第143項医療サービスの質に多くの提案が寄せられた。

配給制度の廃止は、最も議論された問題である。これは、不評な平等原理主義にもかかわらず、60年代の革命当初は一定の必要性があったが、年とともに次第に、経済的に支えきれない重荷となり、労働意欲の喪失、社会での違法行為の原因となっている。

その他の経済モデルの変革を実施して、労働の効率と生産性を向上させ、生産水準を安定させ、補助金なしで基本的な生産物とサービスをすべての市民に提供する。

現在のように、生産物に対し大衆的に補助金を与えるのではなく、別な形で個人を支援するように漸進的に移行する。

国営部門の過剰労働者の再配置は、急ぐことなく、しかし休むことなく、条件の整備に応じて進めていく。そのためには非国営部門の労働の拡大、柔軟化が必要である。自営業者も、法に厳密に従って、税金も含めて自営業の責務を果たさなければならない。

非国名部門の増加は、社会的所有の私的所有化を意味せず、キューバにおける社会主義の建設のための推進役となっている。

社会主義の成果を維持するためには、社会計画は、最高の合理性をもち、全般的な国の経済状況に応じて、より少ない経費でより良くかつ持続可能な結果をもつことができるようにしなければならない。

経済における国家機関の役割と企業の役割との正確な分離は、この数十年重視されず、混同したり、思いつきで対処されてきた。

過度の中央集権化された現在の経済モデルは、分権化された制度に移行しなければならない。そこでは、社会主義的管理の特徴として計画が主役であるが、市場の現れている諸傾向を無視してはならない。

過剰な会議、点検、集団活動の習慣を改める。非生産的な活動への多数の参加を止める。会議の数と時間を減らすとことが不可欠である。

経済モデルの刷新は、大変複雑で相互に絡み合っている。従い、一日、一年で解決できる問題ではない。

今後中央委員会は、少なくとも年2回以上開催し(現在は規約では年1回以上)、経済モデルの刷新の導入状況と経済計画の達成の分析を報告するように大会に提案したい。

全国党会議を開催することを提案する。そこでは、党活動の方法、あり方の修正について結論を出す。党と政府の役割を峻別しなければならない。

党の権力は、基本的に精神的な権威にある。国民が党に信頼を置けば影響力があるのであり、党の行動と政策の正しさから、国民を説得できるのである。

若手幹部の登用を進める。国家評議会・閣僚評議会議長、今大会で選出される党中央委員会第一書記も含め、すべての幹部職の系統的な指導部の若返りを図る。

政治的・国家的地位の任期を、5年を継続し、二期までという制限をもうけるのが望ましい。

わが国は、第三世界の101カ国と協力を維持している。ハイチでは、12年前から医療活動を行って来た。2010年の地震の救援と、また、その後のコレラの対策に他国とも協力しながら、成果をあげている。

ボリーバル革命とウーゴ・チャベス・フリア同志に断固とした連帯と支援を表明する。権威ある指導者たちが率いているラテンアメリカ諸国のいろいろな変革運動も支持する。われらがアメリカの諸国民のためのボリーバル同盟(ALBA)、南米諸国連合(UNASUR)、ラテンアメリカ・カリブ共同体(CELAC)の統合過程に協力する。

国際法、諸国間の主権の平等、民族自決権を擁護する。力の行使、侵略、征服戦争、自然資源の収奪、人間の搾取に反対する。

われわれは、あらゆる形のテロ、特に国家テロを糾弾する。平和、すべての国々の発展を擁護し、人類のより良い未来のためにたたかう。

米国政府は、キューバ革命の信用を失墜させ、倒壊させるという従来の政策を変えていない。現政権は、いくつかの積極的な措置を決定したが、極めて限定的である。

米国政府と対話の用意がある。そして、相互尊重、内部問題不干渉を基礎として、双方に相違点があっても文明的な方法で共存することができる。

1991年、第4回党大会は、宗教者の入党を認めるように規約を改正した。あらゆる偏見を排して、すべての国民、カトリック、ロシア正教、ギリシア正教、福音派、プロテスタント、アフリカ起源の宗教、心霊主義者共同体、ユダヤ教、イスラム教、仏教などの人びとと、革命の美点と擁護のために協力する必要がある。

反革命の囚人の最近の釈放過程について述べると、政府の自主的な判断で、刑期満了前に彼らを釈放した。革命が強化されていると判断して、しかし、相互尊重、誠実、透明という枠内で、カトリック教会の指導部と交渉して釈放した。

カトリック教会の代表者たちは、常にわれわれと一致するわけではないが、建設的であった。ハイメ・オルテガ枢機卿、ディオニシオ・ガルシア司教会議議長猊下と長時間話しあったあとで、こうした印象をもった。こうした行動で、われわれの歴史と革命の貴重な遺産、「国民の団結」を強めることができた。

また、スペインのミゲル・アンヘル・モラティーノス外相は、釈放された人々が家族とともにスペインに居住することを許可してくれた。中には、キューバに留まることを決心したものもいた。

われわれは、米国及びEUの数カ国による人権問題についてのわが国への批判を忍耐強く耐えてきた。それらは、われわれに無条件降伏、また社会主義体制の即時の解体を求めるものである。

堅忍不抜の基盤の上で、社会主義の未来と祖国の独立を維持し、発展させるにあたり、われわれを、多大の努力と巨大な責任の歳月が待っている。
以上、中央報告。

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キューバ共産党第6回大会開催される (1)

キューバ共産党第6回大会開催される。

4月16日、ハバナの国際会議場で、キューバ共産党第6回大会が、開催された。1997年10月の第5回大会から、14年ぶりの開催である。今回の大会の主要議題は、「党と革命の経済・社会政策路線案の討議」と「党指導部の選出である」とグランマ紙は報道している。

大会には選出された1000人の代議員のうち997名が出席し、定刻通りの午後4時キューバ国歌とともに開始され、ホセ・マチャード・ベントゥーラ政治局員が、開会の辞を述べた。引き続き、ラウル・カストロ党中央委員会第二書記が、3時間近くにわたり中央報告を行った。

3月22日に党第一書記の辞任の意向を表明していたフィデル・カストロ第一書記は、欠席しており、大会幹部団の席にはその席も用意されてはいなかった。

ラウルの報告は、「中央報告」として報道され、「中央委員会」報告ではなかった。また、ラウルの報告を、党中央委員会機関紙「グランマ」紙は、「ラウル同志によって提出された中央報告」と紹介し、党・政府系ウエブサイトの「クーバ・デバーテ」は、「党中央委員会第二書記ラウル・カストロによって提出された中央報告を掲載する」と記載している。

一般には、この種の党大会では、大会前の中央委員会総会で承認された中央委員会報告が行われるが、これでキューバでは、第4回大会から連続して中央委員会報告がなされず、最高指導者の中央報告がなされたことになる。大会に先立つ中央委員会総会は、結局開催されなかったようである。最後の重要な会議は、今年の3月19日―20日に開催された、党政治局会議で、それに閣僚評議会執行委員会、中央委員会書記局、CTC指導部、大衆組織幹部、UJC幹部が参加し、経済・社会政策路線案などについて、討議したようである。しかし、この重要な会議については、グランマ紙等で報道されなかった。


中央報告で特記すべき点は、下記のとおりである。

大会は、規約第20条で定められているように、党の最高決定機関であり、全国6万1000の党支部、80万人近くの党員を代表した1000名の代議員が参加している。

昨年の12月1日から今年の2月28日までに、党組織、職場、学園、大衆組織、居住地域で16万3000回の会議が開催され、非党員も含めて延891万3838人が参加し、3百万件以上の発言があった。

討論の結果は、記録されたところによれば、政府と各級の党にとって素晴らしい作業機関となり、その深さ、広がり、変革の速度に関して、国民投票ともなった。

国民は自由に意見を表明したが、党と革命の周りに大多数の国民が結集していることが証明された。しかし、それは意見の相違を否定するものではなく、むしろ団結を強化するものである。

路線案の作成のために「第6回党大会経済政策委員会」が創設され、次の主要な5部門において討論を検討した。
1. 集められた意見を考慮して路線を再構成する
2. 再構成の過程の組織、指導、管理
3. すでに実行されている諸措置の推進のための幹部と参加者の十分な養成
4. 路線の決定を実行する組織・機関の系統的な点検
5. 住民への宣伝の実施

こうした作業を行いながら、3月19-20日に政治局会議開催され、それに閣僚評議会執行委員会、中央委員会書記局、CTC指導部、大衆組織幹部、UJC幹部が参加し、経済・社会政策路線案についてこれまでに提出された点を検討した。この会議で承認された路線案が、今回代議員に配布されたものである。案は、大会期間中、3日間かけて5部門の分科会で議論される。

以下、続く

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2011年4月16日 (土)

キューバ経済研究所・東京学習会議資本論委員会合同シンポ(1)

3月2日―3日、キューバのハバナ市で、ハバナ大学付属キューバ経済研究所と東京学習会議資本論委員会の共催で、「マルクス主義の古典と、日本、キューバ、東アジア及びラテンアメリカ」というテーマで合同シンポジウムが開催されました。以下にキューバ側の発言のいくつかを紹介します。

エルネスト・モリーナ、「ラウル・ロア」国際関係大学教授、「価値の重要性と社会主義経済のための使用価値」
「ernesto_molina.pdf」をダウンロード


エステル・アギレーラ、ハバナ大学国際経済調査所教授、「中米・EUの連携協定―経済学の観点から―」
「11.02.15 Esther Aguilera.pdf」をダウンロード

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2011年4月14日 (木)

『しんぶん赤旗』菅原啓記者のキューバ報告(2)

キューバ共産党が、4月16日から19日まで、第6回党大会を開催します。前回の第5回大会以降、13年ぶりの大会です。大会では、昨年11月に発表、討議された「経済社会政策路線案」が、討議・採択され、新たな党指導部も選出される見通しです。

経済社会政策路線は、今後のキューバの経済・社会発展の基本路線となる重要なものです。ラウル政権下で、改革は、静かな形で進められており、キューバ社会のいろいろなところで、その端緒的な成果が具体的に見られます。こうした党大会の直前のキューバを、『しんぶん赤旗』のメキシコ特派員の菅原啓さんが、現地で綿密な取材を行い、キューバ社会の問題点を7回の連載で、生き生きと報告しています。以下、ご紹介しましょう。

続きは、別添PDFをご覧ください。

「11.03 Desafio de Cuba No.4-5.pdf」をダウンロード


「11.03 Desafio de Cuba No.6.pdf」をダウンロード


「11.03 Desafio de Cuba No.7.pdf」をダウンロード

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『しんぶん赤旗』菅原啓記者のキューバ報告 (1)

キューバ共産党が、4月16日から19日まで、第6回党大会を開催します。前回の第5回大会以降、13年ぶりの大会です。大会では、昨年11月に発表、討議された「経済社会政策路線案」が、討議・採択され、新たな党指導部も選出される見通しです。

経済社会政策路線は、今後のキューバの経済・社会発展の基本路線となる重要なものです。ラウル政権下で、改革は、静かな形で進められており、キューバ社会のいろいろなところで、その端緒的な成果が具体的に見られます。こうした党大会の直前のキューバを、『しんぶん赤旗』のメキシコ特派員の菅原啓さんが、現地で綿密な取材を行い、キューバ社会の問題点を7回の連載で、生き生きと報告しています。以下、ご紹介しましょう。

容量の関係で2回に分割掲載します。

以下、添付のPDFをご覧ください。
「11.03 Desafio de Cuba No.1-2.pdf」をダウンロード


「11.03 Desafio de Cuba No.3.pdf」をダウンロード

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2011年4月13日 (水)

キューバと地震

3月11日東日本大震災が起きてから、1カ月が経過しました。死者、行方不明者を合せた犠牲者数は、3万人近くに達し、今なお、15万人の方が避難生活をされています。被害総額は、3月下旬時点で、16兆~25兆円と推計されています。しかも、この数字には、依然として完全に冷却されていない東京電力の原子力発電所事故や放射能による被害は含まれていません。広域な近隣県に増え続けている放射能による農・漁業の膨大な被害を考えると、最終的にどの程度の被害になるか想像もつきません。完全に破壊された家屋、ビル、設備、車両、船舶、道路、港湾、生活インフラの映像、被災から立ち直ろうとしている人びとの懸命な姿には、大きく胸が痛みます。犠牲者には深くお悔やみを申し上げるともに、一刻も早く復旧の道が進むことを願ってやみません。

こうした状況から、昨年1月にハイチで発生したマグニチュード7.3の大地震を想いだし、隣国のキューバは大丈夫だろうかと心配する人も多いと思います。そこで、以下、キューバの地震状況をお話ししたいと思います。

続きは、添付のPDFをご覧ください。
「11.04.13 東日本大震災が起きてから.pdf」をダウンロード

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2011年4月12日 (火)

ラテンアメリカにおける新しい社会主義運動の現況と特質

「10.08.31 ラテンアメリカにおける新しい社会主義運動の現況と特質.pdf」をダウンロード

ラテンアメリカにおける新しい社会主義運動の現況と特質
『早稲田大学比較法研究所講演記録集』Vol.13 (2010)(早稲田大学比較法研究所、2011)所収

新藤通弘

Ⅰ 問題の設定
(1)ガルシア・マルケスの指摘
現代ラテンアメリカきっての人気作家、1982年にノーベル文学賞を受賞したガブリエル・ガルシア・マルケス(1928-)は、1957年、ソ連・東欧諸国を旅行し、見聞して次のように書いた。
「いわゆる人民民主主義の中に真の社会主義は存在しなかったし、その道程には今後も決して存在しないだろう。なぜなら政治支配システムが、各国固有の条件の上に築かれていないからである。それは、教条主義的で想像力を欠いた各国の共産党を通じてソ連から外から押し付けられたシステムであった 。しかしながら、にもかかわらず、私は、社会主義には現実的可能性があり、社会主義こそラテンアメリカにとって正しい解決策であると思っている。それゆえ、われわれはより積極的に社会主義に関わっていくべきだと引き続き思っている 」。
ガルシア・マルケスがこの見聞記を書いたとき、キューバ革命(1959年1月1日勝利)は、まだ革命の社会主義的性格を宣言してはいず(1962年4月17日宣言)、反バチスタ専制、反米国の半植民地支配に対するたたかい、いわゆる民族民主革命を遂行している段階であった。ガルシア・マルケスの卓見には驚く次第である。

続きは、別添のPDFを参照ください。

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2011年4月10日 (日)

キューバ革命の社会主義的性格の宣言から50年経過して

キューバ革命の社会主義的性格の宣言から50年経過して

1961年4月16日、キューバ革命が社会主義的性格をもつ革命であると宣言されてから、50年を迎える。また、この宣言の翌日午前1時半に、米国により支援された反革命の傭兵1500名余がキューバ中南部の海岸プラヤ・ラルガ及びプラヤ・ヒロンに侵攻し、19日午後5時半に撃退された事件からも50年を迎える。この革命の社会主義的性格の宣言は、どのような時代的な背景の中で出されたのであろうか。

続きは、添付のPDFでご覧下さい。
「61.04.16 コロン共同墓地前でのフィデル・カストロ演説.pdf」をダウンロード

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2011年4月 8日 (金)

現代キューバ研究所 4月定例研究会

【現代キューバ研究所 4月定例研究会】

○テーマ:キューバ「国際主義」の史的展開―その2
キューバ革命の性格を特徴付ける「国際主義」について。長期にわたる海外派兵がもたらした社会的影響について考察します。

○ 報告者:田端広英(ジャーナリスト)

○ 日時:2011年4月28日(木)午後7時より
○ 場所:全国教育文化会館 エデュカス東京 6F 小会議室
東京都千代田区二番町12-1
電話:03-5210-3511
JR四谷駅徒歩7分、市ヶ谷駅徒歩7分、有楽町線麹町駅2分
http://www.zenkyo.biz/map.html
○ 資料代:500円

主催:現代キューバ研究所
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-14 朝日神保町プラザ909
E-mail: cuba_contempranea★livedoor.com

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2011年4月 6日 (水)

キューバ共産党第5回大会について

4月16日からキューバ共産党第6回党大会が開催されますが、14年前の前回大会で何が話し合われ、何が今後の課題とされたのか、現在、次回大会の準備の中で、キューバでも問題とされています。それについて、14年前の拙稿がお役に立てばと思います。14年前の論文ですが、基本的には、現在も同じ見解です。

なお、前回の「続 カーターの良心」の冒頭部分が逆の意味になっていました。下記の通り訂正します。

カーター元米国大統領のキューバ報告が発表された。キューバ訪問については、本ブログで4月1日に書いておいた。その中で、前回書いていないが、報告にある主要なものを簡単に紹介しておきたい。

「975.pdf」をダウンロード

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2011年4月 5日 (火)

続、カーター元大統領の良心

続、カーター元大統領の良心

カーター元米国大統領のキューバ報告が発表された。キューバ訪問については、本ブログで4月1日に書いておいた。その中で、前回に書いていない、報告にある主要なものを簡単に紹介しておきたい。

 キューバ訪問前に、クリントン国務長官、国家安全保障問題担当補佐官及びジュディ・グロス夫人と会談した。
 キューバにある米利益代表部の人員の多さには驚いた。米国人50名、キューバ人270名が勤務している。在玖米国の外交官とキューバ政府高官との間には、最小限の直接のコンタクトはあるように思える。
 キューバにあるユダヤ人協会を訪問した。キューバにはユダヤ教聖職者ラビはいないが、約1500名のユダヤ人が、自由に宗教、海外とのネット交流活動を行っている。しかし、アラン・グロスとの接触はもっていない。
 ブルーノ・ロドリゲス外相と非公式の会談をした。アラン・グロスは、刑が確定した後に釈放される可能性があると思う。
 オスバルド・マルティネス国会経済委員会委員長と会談した(同氏の筆者との会談は、4日付のブログを参照)。同氏は、キューバの現在の諸問題を述べ、農業、商業、サービス分野での国の統制の削減に向かって、「慎重な過程」を進めていることを強調した。現在、わずか50%の農地が利用されているだけであるが、未使用地は、「無期限」に農民に貸し出されるであろう。十数万人が、農村の私的部門に復帰しつつある。
 リカルド・アラルコン国会議長と会談した。次回党大会に1000名の代議員が参加する。経済・社会路線3分の2は、市民の提案により修正された。

 私的にも、公的にも、次のことを要請した。
 わが国の対キューバ経済封鎖の廃止
 旅行、貿易、金融にたいするあらゆる制限の解除
 アラン・グロス及びキューバ人5名の釈放
 テロ支援国家リストへのキューバの掲載を止めること
 キューバ人の表現、集会、海外旅行の自由
 両国の完全な外交関係の確立
・キューバを出発する際、空港で、ラウルは、「カーター大統領がここで述べたこと、すべてに賛成である」と記者団に述べた。

なお、残念なことに、米国のマスコミでは、カーター元大統領のキューバ訪問の結果については、かなりの批判的な論調が主流である。

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2011年4月 4日 (月)

オスバルド・マルティネス世界経済研究所所長(CIEM)、国会経済政策委員会委員長とのインタビュー

オスバルド・マルティネス世界経済研究所所長(CIEM)、国会経済政策委員会委員長とのインタビュー

昨年11月、6回キューバ共産党大会(11年4月16日―19日開催予定)での討議用に「経済・社会政策路線案」が発表された。路線案は、A4判32ページにわたり、291項目が記載され、キューバ社会の経済・社会全般に及ぶ改革案を提起している。

改革案は、キューバ独自の方法で、党支部以外でも、非党員が参加する職場、革命防衛員会(CDR)においても討議に付された。討議のために、2月7日までに、全国で延12万7,113の会議がもたれ、700万人以上が出席し、234万6000の発言が行われ、61万9,387件の提案があった。改革案に1000件以上の提案が行われ、291項目の65%以上が修正され、大会に提案される予定である。

そこで、筆者は、3月上旬ハバナで、旧友のオスバルド・マルティネスさん、世界経済研究所所長(CIEM)、国会経済政策委員会委員長とインタビューを行った。以下にその大要を紹介したい。(新藤通弘)

「11.03.09 オスバルド・マルティネスとのインタビュー ブログ用.pdf」をダウンロード

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2011年4月 3日 (日)

>〈われらがアメリカ〉発行120年に際して

〈われらがアメリカ〉発行120年に際して
マルレネ・バスケス・ペレス (森口舞訳

2011年1月24日付けCubanow紙 より

1891年1月1日、キューバの知識人であり、政治家でもあるホセ・マルティは、ニューヨークの『レビスタ・イルスラーダ』(教養)誌に「われらがアメリカ」*という論文を発表した。同月の30日にはメキシコの雑誌『自由党』が、それを再掲載した。(*訳注:もうひとつのアメリカはアメリカ合衆国のことで、マルティは、この二つのアメリカを対比させた)

この論文には、歳月を経たマルティの成熟さと知識欲が見事に結集されているとともに、論文は、スペイン語圏の歴史において重要な里程標ともなっている。

この論文の様々な面を評価し、経過した1世紀と20年の間に理解され、普及された方法を検討するためには、いくつかの点を明らかにしなければならないし、特に、論文を読んだことがある人には再読を、未だ手に取ったことがない人には読んでみるようにおすすめしたい。
 
まず最初に、注目されることは、発行の場所である。というのは、この文章は、われらが大陸にとって中心となる文化論的定義を行っている文章だからである。

この表題自体から、地理的に北のリオ・ブラボから南のパタゴニアの間に存在している住民共同体を定義するために、ずっと以前から使用されている用語が認知されることとなったのである。

この地域は、また、明らかな地域的差異があるものの、起源、言語、文化を共有する共同体という、ひとつの家族である。共通性は、また未来の課題でもある。各国の独立と主権を維持している人びとにとっては、大陸の統一を達成することは不可欠だからである。

この論文をニューヨークで発表するということは、大都会に住むスペイン語を話す移民、様々な理由でより良い地平を求めて移住した同一性を持った住民グループの間に、論文を普及するということを意味していた。
 
現在そして未来の危機から大陸を守るためには、これらの人々に頼らざるをえず、その危険については、間近の過去について考慮した諸論文があった。マルティは、北で生活する人びとに、「将来、奴隷になったり、田舎者が都会に目がくらむようになったりするのではなく、『われらがアメリカ』がその長所によって評価されるように、またその犠牲によって尊敬されるように貢献する決意と能力でもって生活すべきである。・・・かの国が、その華美でもって、また誘惑の多い生活でもって、また卑怯にもわれわれの心を意気消沈させ、たたかいを忘れさせようとしても、それは無駄である」と書いている(「母なるアメリカ」)。
 
この予告的な言辞は、1889年に開催中のパンアメリカン会議の代表者たちに向けられたマルティの演説、「母なるアメリカ」の一節である(1)。その後、今日われわれが思いだしているこの論文の中に、反響が見られ、かなりの程度、論文の起源となっている。

この論文の文章自体の中で、別の基準によってではあるが、1889年の演説で始まった二つのアメリカの間の歴史的な対比が継続されている。マルティは、南北間に存在する発展の相違について分析を深めるために、この演説を利用している。そのことにより、この論文は、歴史的演説から本質を引き継いでいるのである。

しかし、マルティは、植民地精神が依然として残存している独立した共和国において、政府が行使する方法として、起源を問いただすことを主張するとともに、近代の世界的な事象に関与する必要性も述べた。

村落は基準にはなりえないが、外国の大都市もまた基準にはなりえない。対立する二つの領域間の均衡を見つけなければならないのである。それは、普遍的なものの中で最良のものを無視することなく、何が固有のものであるかを徹底して研究することによってのみ、達成されるであろう。

北に住んでいるラテンアメリカ人たちに、マルティは、「自らの土地への信頼」が、未成熟な人間、「未熟児」を成長させ、恥ずかしくて拒否した母親を認め、擁護しなければならないと説いた。

マルティは、彼らに、「ハミルトンの布告でも、平原の小馬をおとなしくさせることはできない」ことを思い出させている。アレクサンダー・ハミルトンは、北アメリカの独立の著名人のひとりであり、マルティは、彼の視野の広さと政治的知性を高く称賛しているけれども、それは彼の見解を採用し、自分の見解を犠牲にすることを意味しない。創造しなければならないのである。しかし、そのためにはわれわれ自身を知る必要があるのである。

豊饒な対立において相手側を深く弁証法的に解明することが、論文の支柱として役立っていることは、興味深い。明らかに土台となっているのは、固有=普遍関係であり、このことは、より広い意味での文化理解にも、多くの無知な大衆を「解放する」ために政府が着手しなければならない教育の実践にも、また、国内の大学での支配層の育成にもいえることである。

もうひとつ考慮すべき対語は、統一=多様性であり、これでもって、将来の共通の敵に対して統一してたたかうことができるのである。その敵は、すでに生まれつつある北の帝国主義という姿を取りつつあり、7レグア(40キロメーター)の長大な長靴をはいた巨人という恐るべきイメージとなっている。

しかし、この統一のためには、大陸の性格の諸要素まで利用しなければならず、それには、過去のいろいろな侵略を引き継いだ憎悪、嫉妬深い兄弟国の競合関係が邪魔となっている。それらは、チリ・ペルー・ボリビアが巻き込まれた太平洋戦争(1879-1883)などである。

従って、アメリカを統合することは、それぞれの共和国の様々な固有性を取り除くことではなく、それぞれの地域性を損なわずに統合するということである。したがって、「7レグア(里)の巨人が通り抜けられないように、木々を並べなければならないのである。点呼を取り、統一して行進する時なのである。アンデスの地底に根を張った銀の鉱脈のように、隊列を引き締めて行進しなければならないのだ」。

訳注:
(1) 母なるアメリカ、José Martí, Obras Escogidas en Tres Tomos, Tomo II, Editorial de Ciencias Socilaes, La Habana, 1992, pp.420-pp.427. 『ホセ・マルティ選集②』(日本評論社、2005年)、318-332ページ。
(2) われらがアメリカ、José Martí, Obras Escogidas en Tres Tomos, Tomo II, pp.480-487. 『ホセ・マルティ選集②』(日本評論社、2005年)、333-346ページ。

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2011年4月 1日 (金)

カーター元大統領の良心

カーター元大統領の良心

3月29日から、キューバを訪問中の、カーター元米大統領(1977-81)が、30日、ハバナで記者会見を行った。会見の全文が、キューバ共産党機関紙『グランマ』に掲載された。カーター元大統領は、任期中ワシントンとハバナに相互の利益代表部を開設したり、SR-1スパイ飛行の停止、米国市民のキューバ訪問の許可、米国経済水域内での漁業の許可などを進め、両国の関係は大きな改善がみられた。

発表された記者会見で、カーター元大統領は、米玖関係の諸問題について、自論を全面的に展開した。その内容は、安易に政治的な観点からバランスを取るのではなく、実際に米国、キューバ双方に見られる誤りを真摯に分析し、双方が克服すべき問題を率直に指摘し、説得力ある良心的な提案となっている。なお、より良く理解するために、他のマスコミでのインタビューから若干補足した箇所もある。

言及された主なテーマは、
① 米国の対キューバ経済封鎖
② 相互の訪問の自由、
③ キューバにおける人権の改善
④ ヘルムズ=バートン法
⑤ アラン・グロス、ハバナに収監中の米国人
⑥ 米国に収監中の5人のキューバ人
⑦ テロ国家リストへのキューバの記載
である。

以下、要点を紹介しよう。

 大多数の米国民はキューバとの関係正常化を望んでいるので、米国は、経済封鎖を即座に解除すべきである。また、米国からキューバに、またキューバから米国に何らの制限なく旅行できるようにすべきである。
 将来、すべてのキューバ国民が、国際的な人権基準にもとづいて表現、集会、旅行の完全な自由をもつように希望する。
 ラウル議長と、詳細にわたり会談した。フィデル・カストロ前議長は健康のように見えた。古い友人として話しあった。
 ラウル議長の指令と枢機卿の協力により最近釈放された囚人でキューバに残った人たち、12名と会った。釈放され出国した人たちは、出国したスペインや、その他の国々から、キューバに帰国したいと願っている。(筆者注:出国後11カ月を超過すると自由に帰国できなくなる)
 5名のキューバ人の拘留は意味がないと思う。米国での裁判所においても、世界の人権組織の間でも疑問があった。すでに12年拘留されており、罪があろうとなかろうと、近い将来釈放され、家に帰されるものと期待している。
 スパイ活動容疑でキューバで収監中の米国人、アラン・グロスと会った。彼は、キューバ国民とキューバ政府に対して脅威をもたらしたという意味では無実であるが、長期の収監という判決を受けた。彼もまた近いうちに釈放されると期待している。
 アラン・グロスと5人の交換釈放を交渉するという考えを持って、キューバに来たのではない。グロスは、重大な犯罪を犯してはおらず、5人のキューバ人はすでに12年間収監されており、裁判当初の状況、判事、米国の司法制度には疑問があった。従って、二つの問題は別々の違った問題で、関連付けてはならない。グロスは、判決された罪は犯しておらず、将来、恩赦されるか、人道的理由で釈放されるように期待している。
 この記者会見で述べた考えと、私と米国政府高官との間にのみ知っておくべき、より内密なことは、帰国後、オバマ大統領とクリントン国務長官に述べるつもりである。
 関係改善の第一歩は、米国の側からのキューバへの旅行制限の解除である。また、キューバへの人道基金の送金についての諸制限は、ヨーロッパ連合の国々が困っているので、これも解除すべきである。
 ヘルムズ=バートン法を承認し、署名したのは、クリントン大統領の重大な誤りである。この法律は、カストロ体制を打倒すること、体制を変革することを目的としている。しかし、困難は、キューバ政府にではなく、キューバ国民に与えるもので、逆効果である。キューバ系米国人議員の米議会指導者たちは、少数であるが、政治的には強力な勢力であり、キューバの体制に制裁を課そうとしているが、逆で制裁を課しているのはキューバ国民に対してである。
 テロ支援国家リストから、キューバを除外すべきである。キューバと米国の諜報機関は、非常に緊密に協力してアルカイダや湾岸地域のその他の組織の脅威に対決している。米国の唯一の論拠は、コロンビア革命軍(FARC)とバスク祖国と自由(ETA)であるが、コロンビア、スペイン政府とも、キューバにおいて友好的にこれらの組織と話しあえる機会があるという点では、肯定的にとらえているのである。

今回、ラウル議長は、ハバナ空港で、カーター元大統領を見送ったあと、「米国の歴史上、最良の大統領であった」と述べた。双方の問題点を率直に指摘し、良心的な提案をしたカーター元大統領の誠実な態度にふさわしい評価といえよう。米国政府や、米国の有力な研究者達の間にある、今度はキューバが、人権改善の「譲歩」を行うべきだという主張と違って、関係悪化の原因を米国側の対キューバ「制裁」政策にあることを認識して、まずは、米国側からキューバ旅行のあらゆる制限の撤廃を主張していることは、正当でもあり、現実的でもある。米玖関係の改善の根幹は、この指摘にある。
(2011年3月31日 新藤通弘)

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