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2011年3月24日 (木)

なんとかつじつまが合ったであろうか?

なんとかつじつまが合ったであろうか?

フィデルの21日付の『省察』、「はいている靴がきつい」の中で述べられたキューバ共産党第一書記の辞任時期について、昨日、3月23日付の小生論評「つじつまが合わない?」で、疑問を提起しておいた。

フィデルは、22日付の『省察』「『対等な同盟』の真の意図」で、前言が不十分だったとして、次のように弁明している。

「私は、バラック・オバマの極めて重要な歴史的問題の『対等な同盟』に集中しており、来月、党大会が開催されることを思い出しもしなかった。・・・
私が、7月31日の声明を書いたとき、明らかに健康状態は、大変危険であった。
即座に私のすべての公的活動を停止し、住民に安全と安心を提供するためのいくつかの指示を出した。
私の職責のそれぞれを具体的に挙げて、辞任する必要はなかった。
私にとって最も重要な活動は、党第一書記の活動であった。思想と原則によって、革命の段階においてこの政治的職責は、最大の権限をもつものである。行使するその他の職責は、国家評議会・閣僚評議会議長であり、これは国会で選出される。両方の職責とも、後継者がいた。それは、家族的縁故から当然だと考えたことではなく、経験と長所から選んだものである。
最高司令官の地位は、戦い自身の中で得たものであり、私の個人的長所というよりも偶然の結果である。革命自身が、最後の段階で、すべての武力機関の司令権を議長に与えた。その機能は、私の判断では党第一書記に属すべきである。米国によってつくられた帝国のような余りにも強大な障害と対決しなければならない、キューバのような国においては、そうでなければならないと、私は理解している。
前回の党大会から14年が経過したが、この期間、ソ連及び社会主義陣営の消滅、非常時、私自身の病気が重なった。
健康が、次第に、一つ一つ回復していったとき、何らかの職責の辞任を明確に正式に表明するという考えや必要性は、頭に浮かばなかった。この期間、国会の代議員として選挙で選出される栄誉を受け入れた。肉体的に出席せずともよく、同じ考えを持つことができるからである」。

このフィデルの説明は、昨日の私のコメント通り、正式にはフィデルは、ラウルに「一時的に」党第一書記の権限を移譲したままであり、党第一書記を辞任したものではないことを、フィデル自身認めたものある。私のつじつま合わせが、間違っていなかったのである。

しかし、このフィデルの説明で、一国の指導者が、いかにアラブ問題が重大とはいえ、「一か月後の党大会の開催を思い出さなかった」というのは、驚きである。しかも、フィデルがいうように、キューバのような総動員体制にある国で、キューバ共産党第一書記の任務が最も重要であるなら、現在キューバ中を上げて、党大会の議論、経済改革の議論をしているおり、大会の開催を思い出さなかったというのは、いかがなものであろうか。

また、党第一書記の辞任を正式に表明することは、頭に浮かばなかったというのも、党内の民主的、集団的、組織的運営という意味からすれば、率直にいって驚きである。08年2月18日の国民へのメッセージでは、「国家評議会議長、閣僚評議会議長、最高司令官を辞任する」と文書で発表しているだけに、残りの党第一書記の問題を忘れていたとも思えない。

フィデルは、熟達した老練な政治家である。この間、党第一書記の辞任を正式に表明しなかった真の理由は、さまざまな解釈がありうるが、フィデル自身に聞くしかない。いずれにせよ、50年余にわたり、キューバ革命、社会変革、キューバの民族自決権の確立には多大な貢献をした人である。その心労は大変なものだったであろう。ご苦労様でしたと心から述べたい。

フィデルが、共産党第一書記の職責が最も重要だと考えたのには理由がある。キューバ共和国憲法では、第5条で「キューバ共産党は、キューバ国民の前衛組織であり、社会と国家の最高指導勢力である」と規定している。また、キューバ共産党規約では、第1章で「キューバ共産党は、社会の最高の指導勢力」と自己規定している。さらに、党規約の第57条では、「革命軍および内務省における党活動は、キューバ共産党第一書記によって指導される」と定められている。また、党内では、党規約の第1章で、「党組織は、党第一書記のフィデル・カストロ同志の指導と助言に基づいて行動する」と決められている。
とすれば、社会の最高指導勢力のキューバ共産党の第一書記は、キューバ社会の最高権力者となるからである。こうした特殊な総動員体制も、今後検討されていくであろう。

憲法第5条については、世界でも珍しい旧文となっており、その削除については、昨年12月の国会でラウルが示唆している。共産党が社会の最高指導勢力という規約上の規定も、それは国民が評価することであり、自己規定は意味をなさない。また、党規約第1章も、第一書記が代わると党規約を改正するという妙なことになるので、今後改正されるであろう。

なお、フィデルが言っている「前回の党大会から14年が経過したが、この期間、ソ連及び社会主義陣営の消滅、非常時、私自身の病気が重なった」というのは、正確ではない。ソ連の消滅は、1991年12月、いわゆる社会主義陣営の消滅は1989-90年、非常時は、1990年8月からである。その間、キューバ共産党は、1991年に第四回党大会を開催し、6年後の1997年に第五回党大会を開催している。「重なっている」と問題になるのは、1997年以降である。かつて、フィデルの文章は、明快で、論理が通っていた。しかし、最近の文章では、少なからずのほころびが見られる。残念なことである。


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