キューバのアヒアコは、まさに味覚の饗宴である
キューバのアヒアコは、まさに味覚の饗宴である
ティノ・マヌエル
森口舞訳
キューバ料理の多様性は、混交した民族性から来ている。キューバの民族性は、先ずはスペインとアフリカの融合に始まり、その後、中国、ユダヤ、アラブ、ドイツ、フランスなどが加わった。
この関係は、また、はるか15世紀にスペイン人の船乗りたちがキューバの島々を探検した時から、料理にも現れている。
このような料理として、アヒアコがある。アヒアコは、キューバ料理のすばらしい典型である。元々の食材は、いろいろな食材が使われている。しかし、時と共に付け加えられたものもある。
例えば、アヒアコは、コロンブスが遭遇した中では最も発達した先住民文化であるタイノー族の伝統から来た言葉である。タイノー族は、過度なほどピーマン(アヒ)を使った。そこから、「アヒアコ」という名前が由来しているのである。
アヒアコの主な材料に「カサビ(カサベ)」がある。それは、すったユカイモを薄い皮状にしたものである。それを干してソースや肉など、好みのものと食べる。
しかし、アヒアコは、次第に変化していった。スペイン人たちは、元々のピーマン、葉野菜、木の根、根菜類、なんらかの肉が入っているスープに、さらに牛肉、馬肉、豚肉、大根やカボチャを料理して付けくわえたのである。
スペイン人達は、サトウキビ、米、レモン、オレンジ、家畜の牛をスペインから持ってきたうえに、野生の豚をと殺して肉を塩漬けにする習慣ももたらした。
トウモロコシの粉をその葉で包んだタマルは、インディオたちが作っていたものだが、黒人たちが、タマルに豚の皮のチチャロネスや豚の肉を加えた。
アフリカ人奴隷たちは、食事に新たな変化を持ち込み、「カラルー」と呼ばれるスープが現れた。カラルーは、アヒアコに似たスープだが、マランガ(サトイモ、キューバ人に非常に好まれる根菜)の葉、野菜、豚肉、塩漬け豚肉が入る。
アフリカ人たちは、また、油で揚げた肉が好きで、オクラ(暗黒大陸と間違って呼ばれるアフリカ大陸が原産地)、ニンニクを油いためしてまぶしたヤマイモ、鶏肉ご飯を料理した。これらは、現在どのキューバ料理レストランでも注文できる料理である。
干し肉とタラ、それにライスというのが、奴隷の主食だった。白米に目玉焼き、それにひき肉は、黒人の純粋な料理からスペイン人好みに変わり、現在はマドリードでも「キューバ風ライス」として注文できる程だ。
だが、まだ実に典型的なキューバ料理が残っている。焼き豚とアロス・コングリ(赤いインゲン豆を米に混ぜたもの)、青バナナフライ、冷えたビール、ニンニクを油いためしてまぶしたキャッサバイモ、それに自家製デザートのミルクライス、トレハス(キューバ風パンケーキ)や各種のジャムである。
濃密な味あり、スパイスが良く効いた味あり、あっさりした、あるいは柔和な味あり、トロピカル・フルーツ風の味あり、キューバ料理は、大いなる味のミックスなのである。
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