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2010年8月 3日 (火)

キューバのサッカー、発展に必要なもの

キューバのサッカー、発展に必要なもの
ダビッド・E・ブラゲッテ
Cubanow, Julio 30, 2010
(前田恵理子訳)

南アフリカでブブゼラが鳴り止んだ。スペインが世界チャンピオンになった。今でもハバナ市のラウトン地区の公園で、9才のカルリートは、アルゼンチンのリオネル・メッシのTシャツを着て、サーカーのフェイントをしてみたり、左足でにわか仕立てのゴールに向かってボールを蹴ったりしている。

サッカー熱は、キューバでも冷めやらず、国技である野球は、最も世界で人気のあるスポーツのサッカーから、国民的娯楽の栄光を奪い返せないままでいるのだ。

「いつかは、ユリエスキ・グリエル(有名なキューバ人野球選手)のようになりたいけど、まだ僕はメッシ(バルセロナ・クラブチームのスター)にハマってるんだよ」とカルリートは言う。彼は、ハバナで最も交通量があるランパ通りの角にあるヤラ映画館で、父親と一緒にワールドカップの決勝戦を生中継で、しかも大型スクリーンで観戦したことを興奮して語る。

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これは、キューバでは初めての経験で、ハバナの映画館で、デジタル画像と高品質音響技術を利用できたからであると、キューバ映画芸術産業庁(ICAIC)の副会長であるロベルト・スミスは述べた。確かに「サッカーの大きな魅力のひとつは、共有する感動」であり、大型スクリーンで可能な放送の技術的諸条件によって、最高の放映ができたのであると、スミス副会長は語る。

キューバ人は、他のスポーツ競技においてオリンピックや世界大会のチャンピオンであることに誇りをもっているので、サッカーでの不十分水準と結果には不満を表す。

「われわれはスポーツの遺伝子とDNA をもっているのに、ワールドカップに出場できないのはなぜか、私は理解できない」と大学でスポーツ学を専攻した47才のアダルベルト・ラミレスと疑問を述べる。大変奇妙なことは、現在、われわれがギネスブックでボールの支配、接触、操作でいろいろな記録を持っていることだと、アダベルトは指摘する。

その点では、エリック・エルナンデスが際立っている。彼は、最近、ハバナのホテルで、座ったままでワールドカップ公式試合球のジャブラニを3時間3分14秒間リフティングし続けるという世界記録を打ち立てたのだ。この新記録とともに、43歳のエルナンデスは、全身での19時間10分のボール・リフティングと、7時間17分ボールをリフティングしながら42キロマラソンを走るという別の記録ももっている。

キューバ人は、1938年フランスにおけるワールドカップに参加したのが唯一の参加だと覚えている。キューバは、その選抜試合に招待チームとして参加し、初戦はルーマニアと3対3で引分け、次は2対1で勝ったが、準々決勝でスウェーデンに8対0で敗れた。

「群衆の熱狂」というサッカーの健全な理念から、熱狂的なファンの狂熱だけが残った。というのは、過去のリーグとクラブは、選手の売買に何百万ドルも動かす強大な営利追求の企業に転換したからである。4年ごとに世界が狂ってしまうようだ。サッカーを話し、サッカーで休息し、サッカーを夢見るのだ。

国際サッカー連盟(FIFA)には、2億4000万人の選手が登録し、150万の連盟加入チームに所属し、約3000万の人々がFIFAに関係して働いている。合計で2億7000万人が積極的にFIFAに関係し、これは世界人口の4%にあたる。サッカー・ファイナンス年間報告書のために実施された調査によると、サッカーは5500億ドルの国内総生産で、世界経済で第17位を占めている。

こうした圧倒的な趨勢の下で、インテル・ミラノは、キューバでのインター・キャンプ計画を通して子供たちのサッカー人気を盛り上げようとした。25カ国においてこのインテル・ミラノによって行われた支援活動によって、この計画は、4月にハバナに到着し、数日間240名の子供及び80名のコーチらとともに実施された。

それに関して、キューバ・サッカー協会副会長のビクトル・アラゴンが、大事な点は、「われわれの指導者が、サッカーの素晴らしい側面を5~7才の子供たちに見せることが重要だと気付いたことだ。サッカーが好きになって成長した時、習い始め、その後試合をするためにトレーニングを受ける。段階を追って前進しなければならないのだ」と述べた。

著名なサッカー監督であるアルゼンチン人のセサル・ルイス・メノッティは、2005年10月にキューバを訪問した際、「キューバ人コーチの能力を向上させ、理論と実践の授業を行い、コーチの疑問に答えるためのクリニックを開く。なぜなら、キューバ人コーチは、サッカーの国際試合を十分経験していないからである」と述べた。

メノッティは、1978年にワールドタイトルをアルゼンチンにもたらした監督であり、競争力のあるチームを作り出すことは、下から上に向かって始める作業であると意見を述べた。

「野球の国で、サッカーの社会的発展を達成しなければならない。サッカーが若者をひきつける文化的事実となるためには、子供の頃から始めることが必要不可欠である。しかしはっきりしていることは、キューバには並外れた育成の可能性があることである。ナショナルチームの代表選手だけではなく、各種の代表選手となる感動を育てなければならない」と伝説の監督は指摘している。

メノッティは、キューバ人選手には、もっと高いレベルでプレーする可能性を引き出すことを求めた。なぜなら試合こそは、サッカー選手にピッチで権威をもって成長することを助けるものであるからである。

「キューバのサッカーが、国際的に大きな成果を収めることは、キューバのサッカーに大きな衝撃を与えるであろう」とメノッティは言った。

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