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2010年8月30日 (月)

フアン・カルロス・タビオ、映画監督を引退宣言!?

フアン・カルロス・タビオ、映画監督を引退宣言!?

社会派風刺喜劇映画の名匠、ファン・カルロス・タビオ監督が、もう映画を監督しなくなるかも・・・
(前田恵理子訳)
ホルへ・スミス    Cubanow 16 de agosto del 2010

キューバの著名なファン・カルロス・タビオ監督が、キューバ・ナウ誌との独占インタビューで、今後は映画を監督しないと述べた。タビオ監督は、トマス・グティエレス・アレアとの共同監督作品、「苺とチョコレート」でアカデミー賞候補作品に指名された名匠だ。

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「これ以上監督はしない。なぜなら、監督することにあきたし、実際、本当のところ、カメラの後ろに立つことが一度も好きだったわけではなかったからだ」と、ハバナの自宅の近所を犬と散歩しながら、記者に語った。

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「しかし、映画を辞めるわけではない。脚本に専念するつもりだ」と、彼は、付け加えた。

タビオ監督が、4年前に映画「豊穣の角」というタイトルの企画を発表して以来、記者は、この素晴らしい監督と話したことがなかった。

自分の頭のなかに企画があるのだと、その時、タビオ監督は、そのニュースを発表するよう記者にすすめ、制作会社と資金が現れるといいなと口元に笑みを浮かべて付け加えた。

「豊穣の角」は制作され、ホルへ・ペルゴリーア、ブラディミール・クルス、ミルタ・イバーラという、あの傑作「苺とチョコレート」の3人の優れた主役が出演した。そして、ハバナ映画祭で劇映画部門第3位と最優秀脚本賞を受賞しただけでなく、2008年コロンビアでの第49回カルタヘナ国際映画祭の審査員特別賞を受賞したのである。1008_el_cuerno_de_la_abundancia


さらに、この映画は、アルゼンチンの第24回マール・デル・プラタ国際映画祭でアストル・ピアソラ銀賞、出演者と観客に対する審査員特別賞を、また2009年ペルーでの第13回リマ・フェスティバル:ラテンアメリカ映画の集いにおいての観客賞を受賞した。

評論家たちは、この映画に賞賛を惜しまず、さらにはガルシア・マルケスの小説『100年の孤独』の「マコンド」村やスペインのルイス・ガルシア・ベルランガ監督の喜劇映画の傑作「ようこそ、マーシャルさん」との類似性を評価するものもいた。

グティエレス・アレア監督との共同作品映画「グアンタナメラ」の監督でもある俊才、タビオ監督が引退するというニュースに、記者は愕然とした。しかし、メキシコのポール・ルデュック監督(ジョン・リードの『反乱するメキシコ』を1970年に映画化)が、1993年に「ダラー・マンボ」を監督後、同じような発言をしたが、2006年に「集金人」でカムバックしたことを考えて、記者は、自分を慰めた。

ファン・カルロス・タビオ(1943年ハバナ生まれ)の映画技術は、面白さとユーモアが特徴である。

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彼の「空席待ち」(本邦公開タイトル:バスを待ちながら)は、スペインの年間最優秀作品賞「ゴヤ賞」にノミネートされ、また、コロンビアのカルタヘナ国際映画祭では、俳優ホルヘ・ペルゴリアに演技賞が与えられた。「苺とチョコレート」は、1995年ニューヨークで映画記者協会による最優秀外国映画賞を受賞した。

タビオは、トマス・グティエレス・アレアの忠実な協力者であるが、最初の単独作品は、長編劇映画「交換」であった。この映画は、素晴らしい女優イサベル・サントスを世に送りだした。彼女は、最近亡くなった俳優・監督のデニス・ホッパーから(「理由なき反抗」、「ジャイアンツ」、「イージーライダー」)からブラジルで、直々に演技賞を受けとったのである。

タビオ監督は、劇映画「プラフ」では、神秘的な女優、デイシ・グラナードスに輝かしい演技歴のなかでも最も素晴らしい演技をさせた。「豊穣の角」は、「空席待ち」に勝るとも劣らない魅力的な掛け合い喜劇作品となった。

もし、「空席待ち」が人々の善意を賛美していたとすれば、「豊穣の角」は悪い人びとを描いたのである。
(終わり)

以下、ご参考までに、訳者が作成した資料を掲載します。
フアン・カルロス・タビオ
1943年ハバナ市生まれ。
1961年ICAIC(キューバ芸術・映画産業公社)で制作助手として活動を開始。
1963年最初のドキュメンタリー「危険」を制作、その後30本以上のいろいろな映画で共同脚本家として活動。
1983年劇映画「交換」を監督。
1988年劇映画「プラフ」を監督。
1989年-1990年キューバの国際映画・TV学校などで脚本・監督部門の教授を務める。また国際的にも、メキシコ、コスタリカ、パナマなどで脚本、監督、ドラマトゥルギーでワークショップを開催。
1993年「苺とチョコレート」をトマス・グティエレス・アレアと共同監督
1994年「象と自転車」を監督。
1995年「グアンタナメラ」をトマス・グティエレス・アレアと共同監督
1999年「空席待ち」、を監督。「ティトン」トマス・グティエレス・アレアに捧げる
2003年「たとえ遠くにいても」(Aunque estés lejos)コメディーを監督
2005年「風車」(Molino de viento)短編劇映画、主演:ホルヘ・ペルゴリア
2008年「豊饒の角」、長編劇映画コメディーを監督。

主要受賞歴
1970年ドキュメンタリー「バガソ」1970年キューバ映画最優秀作品
1973年ドキュメンタリー「ミリアム・マケバ」最優秀映画批評家賞
1984年劇映画「交換」、第6回ラテンアメリカ新映画祭第3位受賞
1988年「プラフ」、第10回ラテンアメリカ新映画祭最優秀脚本賞受賞
1992年「苺とチョコレート」、第14回ラテンアメリカ新映画祭最優秀脚本賞受賞
1994年「苺とチョコレート」、ベルリン映画祭で、特別審査員賞受賞
1995年「苺とチョコレート」、アカデミー賞、外国映画部門でノミネートされる
1995年「グアンタナメラ」、第18回ラテンアメリカ新映画祭で第2位受賞
2000年「空席待ち」、キューバ作家・芸術家同盟(UNEAC)映画コンクールで最優秀監督賞受賞

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