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2010年8月 2日 (月)

キューバ、世代交代は進められているか

友人の研究者から、「キューバで最近行われている閣僚の交代(農業省、軽工業省、保健省など)で就任した新大臣は、経歴からいずれも40代(?)くらいの実務専門家と思います。これは、一方で若手への世代交代を図っていると考えていいのでしょうか?」という相談を受けた。

そこで、ラウル政権の閣僚更迭を時系列で見てみよう。昨年3月の大幅な交代劇は、ラヘ、フェリーペの辞任問題もあり、参考にならないので、その後の更迭を列記しよう。

09.05.08 フアン・ベラ・バルデス高等教育大臣解任され、後任にキューバ共産党政治局員、前オルギン県党第一書記、ミゲル・ディアス・カネル49歳任命される。

09.06.04 フランシスコ・ソベロン中央銀行総裁辞任、後任に国際金融銀行(BFI)総裁のエルネスト・メディーナ・ビジャベイラン54歳任命される。

09.08.01国会でグラディス・マリア・ベヘラーノ(62歳)、国会議員、新設の全国監査長官に任命される。

09.12.21 ラミーロ・バルデス78歳、グラディス・マリア・ベヘラーノ62歳、国家評議会副議長に任命される。
新たな国家評議会議長、副議長
議長(1名) ラウル・カストロ・ルス(78)閣僚評議会議長、革命軍将軍
第一副議長(1名) ホセ・ラモン・マチャド・ベントゥーラ(78)政治局員、党中央委員会組織局長、党中央委員会書記局員、閣僚評議会第一副議長
副議長(5名)

アベラルド・コロメ・イバーラ(69)政治局員、内務大臣、軍団将軍
エステバン・ラソ・エルナンデス(65)政治局員、党中央委員会書記局員
フリオ・カサス・レゲイロ(73)政治局員、革命軍大臣、軍団将軍
ラミーロ・バルデス・メネンデス(78)、閣僚評議会副議長、情報通信大臣
グラディス・マリア・ベヘラーノ・ポルテラ(62)、会計検査院長官

10.03.22フアン・エスカローナ・レゲーラ検事総長78歳、健康上の理由で解任され、後任に現副検事総長ダリオ・デルガード・クーラを任命。

10.03.08 キューバ民間航空庁長官、ロヘリオ・アセベド68歳解任され、副長官、旅団将軍、ラモン・マルティネスが就任。

10.05.03 ホルヘ・ルイス・シエラ閣僚評議会副議長、運輸相を執務上の誤りにより解任、後任の副議長としてアントニオ・エンリケ・ルソン・バトル共産党中央委員、師団将軍、革命軍特殊部隊長 共和国英雄受賞(80歳)を任命。
また、運輸大臣に同省傘下の現一般食料輸送公団総裁セサル・イグナシオ・アロチャ・マシド51歳を任命。
ルイス・マヌエル・アビラ・ゴンサーレス砂糖産業相を活動の弱点を認め、辞任を申請したことで解任。オルランド・セルソ・ガルシア・ラミレス現第一副大臣53歳を任命。

10.06.12 ウリセス・ロサーレス・デル・トロ閣僚評議会副議長、農業大臣を解任され、現第一副大臣のグスタボ・ロドリゲス・ロジェーロ46歳が任命される。

10.06.30 ホセ・エルナンデス・ベルナルデス軽工業省解任され、後任にダマール・マセオ・クルス第一国内商業省第一副大臣47歳が就任。

10.07.22 国家評議会、バラゲール保健相を解任し、後任に43歳の同第一副大臣のロベルト・モラーレスを任命。

以上を見ると、ラウルの人事は、実務の継続性を重視して次官を任命することが多い。手堅い人事ともいえよう。それらの次官は、これまで若い人びとが任命されているので、昇進して大臣になれば、比較的若い第三世代の大臣となる。しかし、これらの第三世代の閣僚は、ほとんどは比較的短期間に更迭されているので、強く意識的に世代交代を図っているとまではいえないかもしれない。

一方、権力の最高水準である、国家評議会副議長、閣僚評議会副議長の任命は、実務面よりも現在の路線への忠誠度、革命への歴史的貢献度が考慮され、ほとんどは高年齢の古参幹部が登用されている。

なお、これらの人事は、「事前に党政治局と相談し、国家評議会議長(ラウル)の提案で国家評議会が決定する」仕組みとなっている。いうまでもなく、すべて事前にフィデル(党第一書記)と相談し、了承を得ているものである。
(2010年8月2日 新藤通弘)

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