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2010年8月17日 (火)

キューバ映画祭、米国ミシガン州で開催

キューバ映画祭、米国ミシガン州で開催
ラシエル・デル・トロ
Cubanow, 10 de agosto de 2010
(前田恵理子訳)

キューバ映画関係者の代表団が米国を訪問、米国人ドキュメンタリー監督であるマイケル・ムーアが設立したトラヴァース・シティー映画祭に参加した。

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第6回映画祭開会式では、マイケル・ムーア自身が、観客にキューバ映画の上映会に出席することを勧め、キューバの女優のミルタ・イバーラとイアン・パドロン監督を紹介し、その作品に感謝して彼らにトラヴァース市の鍵を渡した。映画祭に参加したもう一人のキューバ人監督は、著名なファン・カルロス・クレマータ監督で、イライダ・マルベルティとの共同監督の長編劇映画「ビーバ・クーバ!(キューバ万歳)」(劇映画、2006年)が映画祭で上映される予定である。

また、その他の上映予定のキューバ映画は、ファン・カルロス・タビオの「豊穣の角」(劇映画、2008年)、イアン・パドロンの「最強野球チーム」(長編記録映画、2008年)とトマス・グティエレス・アレアとファン・カルロス・タビオの「苺とチョコレート」(劇映画、1993年)である。さらに、キューバ代表団のメンバー全員が、「われわれはキューバで生活している」と題されたパネルディスカッションに参加し、映画も製作される予定である。

マイケル・ムーア監督は、彼の出身地でもあるミシガン州北部の観光地、トラヴァースでこの映画祭を開催した。なぜなら、そこは彼が、大手映画会社に対抗して、彼の活動を開始した場所だったからである。この映画祭の特徴は、7月末と8月初めに開催され、屋外での無料上映も含まれていることである。

オープンエアで上映される映画のほかに、有料で市内各地のホールで国内外の映画が上映される。それは、映画祭の15万ドル近い費用を、入場券収入とさまざまな個人の寄付でまかなうためである。ムーアは、政治映画の達人であるが、この映画祭は政治的性格を持たず、本質的に芸術・文化の振興に尽くすものだと述べている。

(訳者補注)
「ビーバ・クーバ!(原題キューバ万歳)」(邦題「ビバ・キューバ!」)
長編劇映画、2005年、80分、言語:スペイン語
監督:フアン・カルロス・クレマータ、イライダ・マルベルティ
撮影:アレハンドロ・ペレス・ゴメス
音楽:アマウリ・ラミレス、スリム・ペシン
日本では、2008年9月第5回スペイン・ラテンアメリカ映画祭で上映、劇場未公開)
出演者:マルー・タラウ(マルー)、ホルへ・ミロ(ホルヒート)、ラリサ・ベガ(マルーの母親)、ルイサ・マリア・ヒメネス(ホルヒートの母親)。

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あらすじ:女の子のマルーと男の子のホルヒートは、一生の友情を誓い合った幼友達。しかし、それぞれの家は政治信条が違い、仲たがいしている。マルーの祖母が亡くなって、母親がキューバ国外へ移住することを決めた時に、マルーとホルヒートは、キューバ各地を自分たちの愛にとっての希望を探して、旅に出ることになる。
クレマータ監督は、以下のように強調している。「この作品の第一の意図は、親が他国に移住するというようなとても重要な決断をする時には、子供の意見を十分に考慮して、考えるよう、親たちに呼びかけていることである。『ビーバ・クーバ!』は、そこから生まれ、この映画は、子供にだけではなく家族全体に捧げられている。このためにすべての年齢向けの映画として考えてほしい」。

「豊穣の角」
劇映画、2008年、107分(本邦未公開)、言語:スペイン語
監督:ファン・カルロス・タビオ
撮影:ハンス・ブルマン
音楽:ルシオ・ゴドイ
出演者:ホルへ・ペルゴリーア、ラウラ・デ・ラ・ウス、エンリケ・モリーナ、ミルタ・イバーラ、ブラディミール・クルス

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あらすじ:ヤラゲイというキューバの架空の小さな村でのお話。ある日、カスティニェイラス一族の家族は、莫大な遺産相続の知らせを受けた。それは18世紀に英国の銀行に修道女が預金していたというもの。この知らせ以来、一族と村中の生活が一変。とりわけベルナルディートと妻のマルティーカは、すっかり落ち着きを失った。一族のみんな、遺産請求の手続きに専念しなければならず、また中には、見境なく借金をする者もいる。遺産を受け取るまでのさまざまな障害をのりきるドタバタコメディー。果たして、お宝を手にすることは・・。

「最強野球チーム」
長編記録映画、2008年、68分(本邦未公開)、言語:スペイン語
監督:イアン・パドロン
撮影:エルネスト・グラナード
出演者:レイ・ビセンテ・アングラーダ、ラサロ・ヴァルガス、アグスティン・マルケティ、ヘルマン・メサ、ハビエル・メンデス、オルランド・エルナンデス(エル・ドゥーケ)、アローチャ

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あらすじ:キューバの国技は、野球である。米国のヤンキースやスペインのレアル・マドリードのように、キューバ野球の象徴的なチーム、ハバナをフランチャイズとするインドゥストリアレスを扱ったドキュメンタリー。このチームは、全国優勝の10回の記録を持ち、熱狂的なファンが多い。その45年の歴史が、初めてキューバの国内外に住む選手やファンにより語られている。
生活すること、野球をすることの困難、例えば、ブロマイドや宣伝ポスター、野球雑誌がないことや、鼻ひげ、口ひげ、長髪、ネックレスや腕輪などの禁止という厳格な規律なども議論されている。そして、選手がプロとしてプレーするために国外へ出て行くという現実も率直に隠すことなく記録されている。
この作品は、この5年間のキューバ映画の中で最も議論を呼び、問題提起をし、批判もされた作品のひとつで、映画館では上映されていないが、作品のコピーがハバナ市内で人から人へと回されている、人気の衝撃ドキュメンタリーである。

「苺とチョコレート」(劇映画、1993年)は、本邦でも公開されましたので、割愛します。

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