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2010年7月25日 (日)

軍服姿のフィデル

フィデルが、7月23日、公衆の前に再び現れた。ハバナ市西部50キロのところにあるアルテミサ行政区の霊廟を訪問し、7・26モンカダ兵営襲撃で倒れた20名の同志に献花した。今月7日の全国科学調査センター(CNIC)の訪問以来6回目の出現である。しかし、今回は、7・26の同志への献花ということもあってか、上半身に革命軍の軍服を着用。ズボンはダーク・ブルーであった。

フィデルの軍服姿は、2006年7月26日、オルギンで行われた7・26記念集会でフィデルが軍服を着て演説をして以来のことである。しかし、フィデルはその時すでに腸の大量の出血を病んでいた。このときの制服には、肩に「最高司令官の肩章」が輝いているのが見られる。

(写真) (2006年7月26日の行事でのフィデル)

(写真)最高司令官、革命軍将軍の肩章


キューバ革命軍で、最高司令官の次は、革命軍将軍で4つ星の肩章である。従来は、ラウルが着用していた。

参考までに、それ以下は、
革命司令官(名誉称号):
フアン・アルメイダ、 キューバ革命戦士全国協会会長(09年9月死去)
ギジェルモ・ガルシア、元運輸相
ラミーロ・バルデス、情報・通信相、国家評議会副議長、党政治局員、
軍団将軍:
アベラルド・コロメ、 内務相、党政治局員
ウリセス・ロサーレス・デル・トロ、閣僚評議会副議長、党政治局員
フリオ・カーサス・レゲイロ、 国防相、党政治局員
と続く。

しかし、今回のフィデルの軍服姿を見ると、ズボンが民間服ということもあるが、何か寂しい印象がある。何の肩章も見られないからである。
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というのは、キューバ憲法によると、第93条g)項で、「武力諸機関の最高指揮権は、国家評議会議長がもつ」と明記してあるからである。つまり、2008年2月24日の国会で新たに国家評議会議長が選出された後、現国家評議会議長のラウルが最高指揮権をもっている。しかし、ラウルが公開の席で革命軍最高司令官の制服で現れたことは一度もない。フィデルへの尊重からかもしれない。


昨年7月26日の演説では、ラウルは、革命軍将軍の4つ星の肩章の軍服を着用している。

(写真)フィデルとラウルの軍服姿

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これは、かつてのフィデル、ラウルの写真であり、両者の階級章がはっきり見られる写真である。


それでは、フィデルは、まったくの一平卒であろうか。単に歴史的な革命指導者としての尊厳、威信、尊敬のみであろうか。

前にも述べたように、キューバ憲法では、第5条で「キューバ共産党は、キューバ国民の前衛組織であり、社会と国家の最高指導勢力である」と規定されている*。そして、その最高指導勢力であるキューバ共産党規約では、第1章で「キューバ共産党は、社会の最高の指導勢力」とあり、さらに第56条で「党は、革命軍及び内務省内に組織され、その活動を行う」、第57条で「革命軍および内務省における党活動は、キューバ共産党第一書記によって指導される」と規定されている。つまり、革命軍及び内務省(警察)は、党第一書記のフィデルの指導下にあるのである。
*中国の憲法、ベトナムの憲法にも同様の規定があるが、民主主義の観点からは好ましくないと指摘する意見も少なくない。

フィデルの公開の場での出現は、戦略的に、段階的に行われているように思われる。あるいは、ラテンアメリカの人びとが難しい目標を攻略するとき、ポコアポコ(少しずつ)アプローチするという文化の中で行われているのかしれない。

(写真)

受け入れ人数が10数名の少ない全国科学調査センター(CNIC)でのジャージーのスポーティな長そで姿から、国営テレビでの中東、北朝鮮問題で国民に語りかける少し公式じみたジャンバー姿、世界経済研究所(CIEM)での明るい半そで姿、外務省での200名余を相手に講演した半袖の姿での講演、そして今回の制服姿。国民の眼には、フィデルのプレゼンスは、ほとんど過去の地位に復帰しつつあるであろう。

7月26日のモンカダ兵営襲撃57周年記念集会は、サンタクララで開催されることになっており、チャベス、ベネズエラ大統領も「ラウルの要請で出席し、演説する、フィデルとも会うことになっていうる」という。さて、フィデルは?
(2010年7月25日、新藤通弘)

すべての写真付きで本文を読みたい方は、添付のPDFをご覧ください。
「10.07.23 フィデル、制服姿で霊廟を訪問.pdf」をダウンロード

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