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2010年7月27日 (火)

フィデル・ラウルと7・26記念集会

フィデル・ラウルと7・26記念集会
7月26日、モンカダ兵営襲撃57周年記念中央集会が、キューバ中央部にあるサンタ・クララ市で開催された。出席が予定されていたベネズエラのチャベス大統領は、コロンビアからの軍事侵攻の可能性があるとして急遽出席を取りやめ、予測されていたラウル議長も演説を行わなかった。一部で噂されていたフィデルの姿もそこにはなかった。演説を行ったのは、国家評議会副議長のホセ・ラモン・マチャード・ベントゥーラであった。

これまで、この7月26日記念集会は、キューバ革命の発端となった重要な事件として、1959年のバチスタ専制独裁政権打倒以来、大規模な集会が催されてきた。最初に開催されたのは、1959年7月26日で、それ以来これまでに開催されなかった年は次の4回である。それぞれ重要な理由があった年であった。

1968年 1970年に砂糖1000万トン生産をめざし、物的人的資源を砂糖収穫に集中。
1969年 1000万トン砂糖収穫期の真最中。
1992年 スペインで第2回イベロアメリカ会議が開催され、出席中。
2001年 前月の6月23日、フィデル、演説中に一瞬気を失う。
なお、1994年はカリブ諸国連合(AEC)が結成され、フィデルが調印式に出席のため、コロンビアを訪問、ラウルが中央集会で演説を行った。1997年も、中央集会も開催されたが、ラウルが演説を行った。また、2007年以降はラウルがすべて演説を行っている。フィデル、ラウル以外の指導者がメイン演説を行ったのは今回が初めてである。

マチャード副議長は、20分の短い演説で、「経済面でのたたかいは、今日キューバでかつてないほど、重要な課題となっている。キューバは、欠陥を抱えており、変えるべきことを変えて、それを克服しなければならない。そのため引き続き、研究し、分析し、政策を決定していくが、しかし、それは外国からの圧力によるものでなく、国民の人気取りの形でなく、ウソをつく形でもなく、あるいは思いつきでなく、また急ぎ過ぎず、一歩一歩行い、誤りを犯さないようにしなければならない」と述べた。

マチャード副議長の演説は、今年4月のラウルの青年共産同盟(UJC)での演説を引用したり
フィデルの過去の言辞を引用したり、5月のキューバ小農協会(ANAP)総会での討議結果を引用したりして、目新しいものがなく、具体的な政策を提起するものではなかった。多くの国民は、経済困難、社会生活の閉塞感の中で、これまでもあったように、7・26という重要な革命記念の日に、なんらかの重要な経済改革が発表されると期待していた。しかし、「引き続き検討し、一歩一歩政策決定を行う」というのは、政策の決定面での賢明さではあるが、国民の生産意欲を刺激し、生産力を解放し、生産を増大して、二重通貨制度問題を解決する、賃金の購買力を回復するなど、改革へのいろいろな具体的政策を提起するものではなく、国民を、特に若い世代を満足させるものではなかったと、広く指摘されている。

このことから、今回ラウルが演説を行わなかったことは、いろいろな憶測を生んでいる。しかし、ラウルは、組織的運営を重視する指導スタイルをもっており、昨年度からは、共産党中央委員会総会での議論、国会での議論を通じて、改革の政策を決定して、これらの会議で発表している。昨年ラウルは、7・26集会の後にこれらの重要会議を開催し、7・26演説は、これらの会議の重要政策発表の前であったので、ほとんど具体的な政策は発表されなかった。党の会議、国会の意味からすれば、当然の順序と位置付けであろう。

すでに、7月21日、「第7期第5回通常国会が8月1日に開催され、経済、政治、社会生活の重要な問題が討議される」予定であると発表されている。その前の28日、29日は、国会の各委員会が開催され、30日、31日は、当該各省の報告が行われることになっている。ラウルは、これらの討議をふまえて、1日の国会の閉会演説で、国民が待望している重要な政策を提起するものと予想されている。

一方、フィデルは、7月26日ハバナの革命広場のホセ・マルティ記念碑に献花した。上半身は、オリーブ・グリーンの緑の軍服(ただし階級章なし)、ズボンはダーク・ブルー、靴は革靴。同日、国営テレビは、フィデルがボディガードに腕を支えられゆっくりと歩いて献花台に向かう姿を報道した。
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その後、フィデルは、ホセ・マルティ記念塔の中の劇場に準備されていたメサ・レドンダのテレビ番組で演壇に座り、キューバ人アーティスト、米国人友好運動活動家たちと対話、国際問題について質疑応答を行った。血色も良く、質問にもよどみなく、明晰に回答した。フィデルは、独自の見解である、米国のイラン侵略の可能性とそれによる核戦争の危険を強調し、この問題で近々特別国会を開催するように要請すると述べた。8月1日の国会の続開となるか、別な日の特別国会となるかはわからないが、フィデルの国会再登場は、遠くないことであろう。
(2010年7月27日 新藤通弘)


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