« 漢那朝子著『ミ・ファミリア』、楽しくてちょっぴり悲しい物語の紹介 | トップページ | 最近のキューバの改革は民営化か? »

2010年6月12日 (土)

ラテンアメリカ=カリブの歴史と世界史

最近アンデス文明、メソアメリカ文明への関心が高まっています。これらの古代文明はどういうものだったのだろうか。それらは、スペインの征服によってどう変容し、どのような社会が作られたのであろうか。ラテンアメリカの資本主義はどう形成され、どのような特質をもっているのだろうか。その後の新自由主義政策の跋扈の時代を経て、社会変革が進むラテンアメリカを理解するのに、大変貴重な論稿です。

ラテンアメリカ=カリブの歴史と世界史
岡部 廣治【「世界史とは何か」、歴史教育者協議会=編、『新しい歴史教育』①、1993年10月、大月書店】
                           

     一 社会発展の法則
 第一に、ラテンアメリカ=カリブ地域も、けっして世界史の発展法則の例外ではない。しかし、この地域が「世界史」に登場するのは断片的であり、欧米世界の付属物のようにあつかわれ、この地域自体の法則的発展は把握しにくい。この地域の歴史過程を一貫してたどることが必要である。
 
 この地域の歴史は、マヤ、インカ、アステカから始められる。「古代文明」として、メソポタミア、エジプト、インド、中国の諸文明と並べられている。この地域でトウモロコシが栽培されるようになったのは紀元前三千年紀ごろとされるが、三つの「文明」の生起(商人層の形成)は、紀元前七世紀のマヤをのぞけば、紀元後一三~一四世紀であり、他の地域の諸文明よりかなり新しい。
 
 また、インカとアステカを「帝国」と「王国」とに区別して呼ぶことは不合理である。一民族(種族)が他の諸民族(種族)を従属・臣属させる場合に帝国と言うとすれば、両方とも帝国である。インカ族(インカとは「王」の意で、国名はタワンティンスーヨ)は、現在のコロンビア南部からボリビアにおよぶ南北二〇〇〇余にもわたる広大な領土を擁し、多くの他の諸種族を支配していた。アステカ族には、周辺の諸種族が貢納の義務を負い、さまざまな圧力をこうむっていた。隣接していたトラシュカラ族が、コルテスの軍をテノチティトランに案内して征服の手助けをしたのは、そのためであった。それぞれの「国」の内部でも支配=被支配の関係がすでに形成されつつあった。「空中都市」マチュ=ピチュやテオティワカンの太陽と月のピラミッド、メヒコ市の中央広場の脇で発掘された「大寺院」(テンプロ・マヨール)などは、政教未分離とは言え「権力者」の存在を証している。恒常的な余剰生産物を売買する商人層の存在も「奴隷」の存在も知られている。共有地の共同耕作を土台にしていて、ペルーの科学的社会主義者J・C・マリアテギが『ペルーの現実にかんする七論文』で明示したように「共産主義」を社会の基本原則としていたとは言え、階級社会への移行期にあったと考えられよう。

続きは、添付のPDFをご覧ください。「Okabe.pdf」をダウンロード

|

« 漢那朝子著『ミ・ファミリア』、楽しくてちょっぴり悲しい物語の紹介 | トップページ | 最近のキューバの改革は民営化か? »

歴史」カテゴリの記事