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2010年6月 5日 (土)

漢那朝子著『ミ・ファミリア』、楽しくてちょっぴり悲しい物語の紹介

ベネズエラについての良い本が出た。漢那朝子著『ミ・ファミリア―悲しいのに笑い、泣きながら踊ったベネズエラの日々―』(諏訪書房、2010年)である。漢那朝子(かんなともこ)さんは、1972年東京で彫刻家志望のベネズエラ人青年フリオと恋におちいり、翌年結婚。ベネズエラに行き、生活を始める。そして、ベネズエラの異文化社会の慣習、考えかたの違い、ベネズエラの二大政党の政権交代劇に翻弄されて、困難な生活を経験しながら、家族との軋轢あり、10年後、「身も心も病んで」離婚して息子とともに日本に帰国。

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この半生を生活のさまざまなエピソードを交えながら、「たくましい」ベネズエラ社会を語り、読者をひきつけて離さない。

さらに、漢那さんは、チャベス大統領の出現の背景に、70年代半ばから80年代にかけての「悪いことばかりで、腐りきった」二大政党制の弊害を、的確に指摘する。

この本の何よりも優れているところは、漢那さんが、10年間住んで、自らの目で見、肌で感じたベネズエラ社会の「内側」から、社会生活、政治を冷静に分析していることである。そのため、語りに深みがあり、読んでも面白いのである。俗にいう『キューバ本』が、10日や30日のキューバ滞在で、「外側」から見たキューバを語り、間違いや当たらずといえども遠からずの記述が多いのとは、この本は違っている。石橋純さんが「解説」で述べているように、ベネズエラの「人びとの姿を活写した本書は、ラテンアメリカの文化・社会・政治に関する出色のエスノグラフィ( 民族誌)にもなっている」。

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