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2010年2月15日 (月)

インスルサ米州機構事務総長の再選をめぐって

昨年来みられる米国のラテンアメリカ政策が、再び傲慢かつ巧妙になっていることから(クリントン国務長官のいう、スマート・パワー外交)、オバマ政権は、ホンジュラス、コスタリカ、パナマ、コロンビア、ペルーを抱き込んだものの、その政策は、ことあるごとにラテンアメリカ諸国から強い批判を受けるようになっている。

15日の『しんぶん赤旗』にメキシコ特派員の菅原啓さんの時宜を得たニュースが掲載れた。ワシントン・ポスト紙が、4月14日に「OAS(米州機構)がこの数年、二つの最重要の目的のうちのひとつである「代議制民主主義の強化と促進」において失敗を続けているのは、インスルサ事務総長にその責任があると非難し、同事務総長は、OASの民主主義憲章をしばしば無視する中南米の左派指導者に「迎合」していると批判。また、カストロ独裁体制から解放されていないキューバの同機構からの除名決議の解除を推進したとして同氏を糾弾した。しかし、ブラジルをはじめ、ラテンアメリカの国々はこれに反論している」ことを紹介している(別添記事参照)。

 ワシントン・ポスト紙は、さらに「インスルサ事務総長は、地域の国々への内政干渉を拒否し、OASは加盟国の内部問題に関与できないといいつつも、ホンジュラスでは、左派のセラヤ大統領が不法にも憲法を改正のための国民投票を推進しようとしたとき、セラヤを支持した。OAS事務局の経費の60%を提供している米国は、同事務総長の再選を認めるべきでない。しかるにオバマ政権はマヒしており、態度を決定していない」という乱暴な見解を展開している。

 しかし、ワシントン・ポストは、昨年の7月26日付の自紙の記事を忘れているようである。そこには、「クリントン国務長官は、インスルサのクーデター批判、セラヤ支持の態度に業を煮やして、インスルサを通り越して、アリアス・コスタリカ大統領にホンジュラスの双方の側を仲介するよう依頼した。インスルサの出身国のチリ政府筋は、クリントンが来年の事務総長選挙にはインスルサの再選を支持しないと通告してきたと述べている」と報道している。しかし、選挙により選出された大統領をクーデターで放逐するという民主主義を蹂躙したクーデター派とその被害者を同列において、双方が和解することは、結局クーデターを許すことになり、ありえないことであり、結局はこの仲介は失敗した。

 インスルサ事務総長が、6月28日のクーデター勃発後に大多数のラテンアメリカ諸国と米州機構決議・国連決議の見解を受けて、不当なクーデターを批判し、セラヤ大統領の即時復帰を主張し、クーデター派のミチェレッティと懸命に交渉していた時、7月6日、突然、ノーベル平和賞受賞の平和主義者、アリアス大統領が双方の仲介を名乗り出た(かに見えた)背景には、米国のチリ社会党出身のインスルサへの不信と、翌年のOAS事務総長再選問題がからんでいたのである。

 このことに関して思い出されるのは、当時(7月12日付)、チリの有力紙メルクリオ紙、メキシコのホルナーダ紙でも報道されていたことである。同紙は、「民主党の関係筋の話として、クリントンは、キューバの無条件のOAS復帰にさいしてのインスルサの態度と、ホンジュラスの軍事クーデターの危機後のインスルサの態度から、来年度の同事務総長再選を支持しないこと、ホンジュラスの解決の唯一の交渉人としてアリアス大統領を指名したと、バチェレ大統領に通告した」と報道していた。オバマ政権の方針は、すでに規定の方針であり、ワシントン・ポスト紙が案じることではないのである。

「10.02.15 OAS議長選挙をめぐって 『しんぶん赤旗』.docx」をダウンロード

(2010年2月15日記)

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