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2009年12月 3日 (木)

セラヤ大統領の大統領復帰についての国会審議

12月2日、ホンジュラスの国会で、セラヤ大統領の復帰についての動議が議論された。国会の周りは軍隊に取り巻かれ、厳戒態勢の中で国会は開会された。各国会議員が意見を述べ、投票した。現地時間の午後10時過ぎ各議員の意見表明が終わり、復帰反対が111票、復帰賛成が14票で、128票の過半数を上回り、復帰反対が国会で決議された。国民党(右派)は全員反対し、自由党(中道右派)の一部が分裂して賛成に回り、民主主義統一党(左派)の5名が賛成した。

この審議は、10月末にセラヤ大統領とクーデター派の間に締結されていた合意にもとづいて行われたものであるが、合意当初は、すぐさま国会で審議が行われ、セラヤ大統領が復帰し、一応の民主主義を回復したもとで、大統領選挙が行われ、正常化が進むものと期待されていた。しかし、政権の実権を握っているクーデター派は、巧妙に合意の不明確な点を利用し、国会の審議を回避し、大統領選挙を実施し、「民主的な」選挙の実施という既成事実を作り、その後に国会で復帰問題を審議するという策を弄した。恐らくは最初からのシナリオである策略は、功を奏したように思われる。

もともと、国会は、圧倒的に保守的な構成であり、6月28日の早朝のクーデター実行の午後、セラヤ大統領の解任を強行していた。その同じ議員が復帰を議論したのである。その際は、124人が賛成(4人が反対)したことからすれば、今回は米国が、選挙実施が正常化の道を開いたとして、「新大統領」を承認し、セラヤ大統領の復帰をさけようとする圧力の中で審議が行われ、その後セラヤ大統領支持が増えたことが注目される。

今月1日ポルトガルで開催されたイベロ・アメリカ首脳会議で、ホンジュラス大統領選挙について議論され、ブラジルのルーラ大統領とコスタリカのアリアス大統領との間で激烈な議論が交わされた。

アリアス大統領は、「今回の選挙結果を支持し、ホンジュラスは、過去に囚われず、未来を見る必要がある。国際社会は、イランやアフガニスタンの選挙を受け入れるのであれば、ホンジュラスの選挙も受け入れなければならない。ラテンアメリカでも、80年代軍事政権は選挙を通じて民主化に向かったではないか」と主張した。

これに対し、ルーラ大統領は、「ホンジュラスとイランを比較することはできない。大統領に当選したロボは、クーデターを起こした人物であり、このクーデターの批判とセラヤ大統領の復帰は、コスタリカも含め米州機構で満場一致で賛成されたものである。常識の問題であり、民主主義の原則的な問題である。ラテンアメリカで政治的暴力行為を認めないという合意である」と反論した。

筆者は、アリアス大統領がいう「ラテンアメリカの軍事政権が選挙を行い、民主化に向かった」のは、クーデター当事者の軍人が選挙を行ったのでなく、国民の軍事政権に対するたたかいが強く行われたこと、軍事政権では経済危機に立ち向かえなかったことなどから行われたものであり、今回のホンジュラスの状況とはまったく異なるものであると考えている。しかし、それはともかく、読者自身が、どちらの議論が正当であるか、判断できるであろう。

この問題は、民主主義の原則をめぐる議論であり、民主主義の原則は交渉で決めることができない問題である。
第3国の利害と思惑がからんだ仲裁でなく、ホンジュラスの国民自身が、民主主義の原点に立ち返り、違法な選挙で当選したロボ「大統領」の不信任、今後の自主的な政権づくりのための新たな憲法制定議会の設立に向かい、たたかいが進めれられるであろう。

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