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2009年5月11日 (月)

米国・キューバ関係改善の条件は?

米国にウエイン・スミスというキューバ研究者がいる。1959年1月8日、フィデル達、7・26運動の勝利者たちがハバナに入城してきたとき、若き外交官としてハバナでそれを見ていた。米玖関係が61年1月断絶したとき、キューバを去った。そして、ケネディ政権のもとでラテンアメリカ政策を立案する要職に任命された。

その後、1977年カーター政権が、キューバとの関係改善をめざして、ワシントンとハバナに双方が利益代表部を設置したあと、彼は、1979年ハバナの利益代表部首席を任じられた。彼は、その後レーガン政権の対キューバ政策と合わず、1982年に国務省を退官した。以後、豊富なキューバとの外交経験を生かして、米国きってのキューバ外交通として健筆をふるっている。
 
この彼が、最近、アルゼンチンの新聞とのインタビューで、オバマ政権の対キューバ政策について、次のように厳しい批判を行っている。
「オバマ政権が、キューバへの旅行制限と送金について若干、緩和したが、それをもって、今度は、キューバがなんらかの行動を取るべきだといっているのは、間違いである。オバマ大統領は、ブッシュ前政権のような敵対的行動は継続していないが、彼の演説は硬派のトーンをもっている。しかし、経済封鎖を行っているのは米国であり、キューバではない。キューバにたいして「制裁」をおこなっているのは米国であり、その逆ではない。したがって、私がキューバについて知っている少ないことからしても、このような少しの譲歩で、キューバ側に妥協の行動を要求するのは現実的ではない」。
 
事実、オバマ政権は、最近でも、4月30日には、国務省が「2008年テロリズムに関する国別報告書」で、キューバをテロ支援国家リストに継続して指定している。キューバ側にも、60年代のラテンアメリカの武装闘争への介入についての公式の自己批判がないこと、ペルーのセンデーロ・ルミノーソ、コロンビアのコロンビア革命軍(FARC)という反政府武装勢力への一時期の支持という弱点はあるが、現在のキューバがテロ支援国家とは到底いえないことは、ラテンアメリカ 諸国がこぞって認める事実である。さらにオバマ政権は、5月4日は、キューバの国民的シンガーソング・ライターのシルビオ・ロドリゲスへのビザを発給しないという間違った態度をとっている。
 
キューバ側は、当然のことながら、米国との対話は、無条件で、あらゆるテーマを話し合うことを繰り返し提案している。

さらに、この機会に、米国とキューバの関係改善の基本的な原則を再確認しておくことも有意義であろう。それは、米国の経済封鎖の解除、グアンタナモ海軍基地の返還、キューバの内政問題への不干渉、対等・平等・相互尊重であろう。これらは、二国間で関係を回復し、良好な関係を築くためには不可欠の条件である。
 
キューバには、米国国民の優れた国民性、文化を高く評価しつつも、「米国は、ちょっと指を突っ込むと肩まで引き込むから、いささかの妥協も危険だ」という認識が国民の中に広くある。これをウエイン・スミスも知っていれば、「米国の譲歩は、未だ少しである」という量的な問題に限定することはなかったであろう。米玖関係の改善は、包括的・全面的なものでなければならいが、そのカギは米国が握っており、キューバ側にはない。

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