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2009年4月 4日 (土)

ミス・ユニバースとグアンタナモ基地

 先ごろ、ベネズエラの2008年ミス・ユニバース、ダイアナ・メンドーサ(22歳)さんが、キューバにある「グアンタナモ米海軍基地」を訪問し、「タアアイヘン楽しかった」とミス・ユニバースのホームページ内のブログに書いて、ベネズエラ国内でまた国際的にも物議をかもしている。090404_dayanamendozaindex

 ダイアナさんは、米軍の招待で、同基地を訪問、その感想を、「基地はリラックスでき、静かで、美しかった」。海は「信じられないほどスゴークきれいで」、軍用犬は「大変かわいく」、収用所キャンプ、監房は「映画も楽しめ、すべてが大変興味深いものだった」と、率直に書いた。
 しかし、この表現は、たちどころに国際的な非難の対象となり、このブログが問題となるや、ミス・ユニバースは、ブログをすぐさま削除して、ダイアナさんの感想は、「同基地の兵士とその家族の親切さについて」述べたものであり、決して監房についての判断を含むものでないと弁明し、問題がこれ以上大きくなることを避けようとした。
 もともと、このグアンタナモ基地は、キューバ独立戦争の末期に米西戦争を引き起こし、キューバに留まった米軍が、撤退を条件にキューバに基地貸与を認めさせたものである。1959年の革命勝利後、キューバ政府は基地返還を要求しているが、米政府はそれを無視して、米国が無期限に居座っている(詳細は、本ブログ、1月2日付け「グアンタナモ米海軍基地とはなにか」を参照)。軍事的には、現在の軍事技術の水準では時代遅れのものとされている。しかし、米政府は返還要求を無視するどころか、2002年1月ブッシュ政権は、キューバ領内にあるという理由で、米国の国内法が適用されないと強弁して、アフガニスタンの「テロリスト容疑者」をグアンタナモ基地に移送して、尋問を行い「テロリスト」についての情報を得るために利用した。090404_guatanamo

 現在でもアフガニスタン人をはじめ様々な国籍の約240名が長期に拘留されている。収用所での拷問を含む尋問のすさまじさは、国際的な批判を浴び、さすがにオバマ新政権は、収用所を来年1月までに閉鎖すると発表せざるをえなかった。
 こうした国際的な非難にされているグアンタナモ基地にミス・ユニバースを招待するのもおかしな話だが、その訪問での印象を、「タアアイヘン楽しかった」と報告するのも、無邪気さを通りこして、あきれたものである。彼女は、すっかり、マスコミの物笑いの種となってしまった。今後、テレビ番組のコメンテーターに予定されているが、知的水準を危惧する人も少なくない。
 さすがに、ベネズエラでは、「今後は、ミス候補者は、総合的に優れた人を選ぶようにしなければならない。何年か前に、あるミス・ベネズエラは『私、ウイリアム・シェクスピアの音楽が大好きなの』と述べたことがあるから」と、新聞記者のアナ・カリーナさんは述べている。一方では、フェミニストの人々からは、美人コンテストの存在そのものもあらためて、批判の対象とされてもいる。
 しかし、批判は、それだけに留まらず、「ダイアナを監獄に入れろ」とか、「休暇にはグアンタナモに行こう。タアアイヘン楽しいから」とインターネットでコメントが流れている。ラテンアメリカでは、グアンタナモ基地が、当然キューバに即時返還されるべきであり、米軍はイラクやアフガニスタンなどへの他国への干渉をやめるべきだという意見が大半を占めている。こうした21世紀の国際常識からすれば、国際人の資格としては、一定の教養と、さらに自主独立の政治性が要求されるということかも知れない。

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