« キューバ人の国民性 | トップページ | 誠実な外交とは »

2009年2月 5日 (木)

フィデルのオバマへの質問状「オバマの政策と倫理の間の矛盾」

フィデルの質問状、「オバマの政策と倫理の間の矛盾」

2月4日、フィデルは、省察「オバマの政策と倫理の間の矛盾」で、次の13項目にわたり、原則的な問題をオバマ大統領に送り、これらをどう思うか、回答を求めた。前にも述べたが、ここにはキューバの対米政策の根本的な姿勢が見られるので、紹介しておきたい。

① ほとんど例外なく米大統領が指示してきた外国人政敵の暗殺
② アイゼンハワー以来、キューバに行われてきた暗殺計画、キューバ侵攻、テロ・キャンペーン、国内反体制への武器の供給
③ キューバに対して数十年行われてきた人と家畜に対する細菌作戦
④ キューバ人だけに居住特権を与えるキューバ人地位調整法
⑤ 対キューバ経済封鎖
⑥ 資源国での加工を行わない米多国籍企業の特権的行動
⑦ 米国の石油の自給化による供給国の外貨収入をどうするか
⑧ 自動車産業による環境破壊
⑨ 盲目的市場を合理的に管理できるか
⑩ 原子力発電による自然環境破壊と人体への影響
⑪ 大気・海洋汚染
⑫ これらの矛盾を倫理を転換することなく解決可能か
⑬ バイ・アメリカン運動、これはWTOの原則と矛盾しないか

これは、ちょうど、1998年、キューバとローマ・カトリック教会が関係を修復して、教皇ヨハネ・パウロ2世がキューバを初訪問した際、ハバナ空港での歴史的な歓迎式典において、カストロ議長(当時)が、世界の窮状を次のように教皇に訴えたことを想起させる。

「・・・猊下の世界各地への長い巡礼によって、猊下のご自分の目で、多くの不正義、不平等、貧困、耕作されない荒地、食べ物も土地もない農民、失業、飢餓、疫病、わずかのお金の不足で救うことができない生命、非識字者、少女売春、6歳から始めている少年労働、あるいは生きるために物乞いをしている少年、非人間的な条件のもとで生活している数億人にのぼる貧困生活者、人種・性差別、土地を奪われた不幸な少数民族、外国人排外主義、他民族蔑視、破壊された、あるいは破壊されつつある文化、低開発、高金利の借款、回収不能かつ支払不能の対外債務、不等価交換、巨大かつ非生産的な金融投機、無慈悲にあるいはおそらくは他に方法もなく破壊された環境、あきれるほどの商業主義、戦争、暴力、虐殺の目的で行われる傍若無人の武器貿易、広範にみられる腐敗、麻薬、あらゆる国民に理想的なモデルとして押し付けられる消費主義をご覧になることができたと思います。
・・・この世紀だけでも人類の人口は、ほぼ四倍も増加しました。何十億という人類が、正義に対して飢えと渇きを覚えています。人類の経済的、社会的災厄の一覧表は、無限です。そのうちの多くが、猊下にとって恒常的かつ日々深まっている関心事であると理解しています。猊下は、これらの問題をどう考えられますか」(Granma, Enero 22, 1998.)。

これは、16世紀にスペインの植民地主義がアメリカ大陸で先住民に対して行った蛮行をローマ教皇に厳しく糾弾したラス・カサス司教を彷彿させる姿であった。

関係の修復の際、相手のことを思い図り、原則問題に触れないという態度はとらず、原則は厳しく守りつつ、対等、平等の立場で、関係修復を行うというキューバの姿勢がここにもうかがわれるであろう。米玖関係で、キューバも何らかの譲歩をと考えると、米玖関係の進展を読めなくなるであろう。

|

« キューバ人の国民性 | トップページ | 誠実な外交とは »

外交」カテゴリの記事