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2009年1月 7日 (水)

キューバについての7つの神話(2)

キューバについての7つの神話(2)

3 走っている車はほとんどアメ車? 

 ハバナ市の風景がテレビで映る。走っている車はほとんど50年代のアメ車。ナレーションが入る。「これらは革命後キューバを出て行ったアメリカ人が残したものである」。また、旅行ガイドブック(日本人の書いた)は「道路にはアメ車があふれている」という。本当だろうか?

 問題は、どの地域で車を見ているかである。旧市街の観光地には、アメ車に乗せて稼ごうという個人タクシーや、白タクが集まっている。それをみて、「ほとんどがアメ車とか、アメ車であふれている」というのは、皮相な見方である。ハバナ市は人口が約220万人の大都市である。旧市街もあれば、新市街のベダード地区、かつての高級住宅地ミラマール地区、中間層のビボラ地区、貧困地区だったレグラ、ニュータウンのアラマール地区もある。どの地区で車を見ているかである。

事実を写真で見てみよう(筆者撮影) 写真をクリックすると大きくなります。

この写真は、新市街のベダードでの写真である。アメ車であふれていますか?
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また旧市街ではあるが、観光地でない税関の前の駐車場である。アメ車は何台あるでしょうか。
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富裕層が住んでいたミラマールにあるシラ・ガルシア病院前。ここでもアメ車が多いとはいえませんね。
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筆者の調査では、乗用車は、アメ車は5%程度で、ソ連製のラーダが60%程度、あとモスコビッチ、フィアット、プジョー、ルノー、ヒュンダイ、ダイウ、トヨタ、ニッサンが見られる。もっとも1972年にアルゼンチンから購入したアルゼンチン製のフォード、シボレー、クライスラーも見られる。しかし、アメ車はいずれもパーツの安定供給が保障されず、シャシーと車体だけがアメ車で、エンジン、トランスミッションなど別という車も少なくない。キューバ人は、発明家なのである。

さて、キューバの自動車事情を歴史的に見れば、1950年代、キューバはラテンアメリカでも有数の自動車普及国であった。10万6000台を保有し、保有密度は1000平方キロメーターあたり921台、1000人当たり保有台数は19台で群を抜いていた。人口で同じ規模のチリは、それぞれ7万2000台、95台、12台であった。キューバは、米国式の生活文化圏にすっぽりはまっていたからである。

しかし、この10万台をすべて米国人が保有していたわけではない。革命勝利前、キューバに居住する米国人は、約8000人弱(全人口は600万人)であった。したがって、10万台の車の大半は富裕なキューバ人が保有していたものである。つまり、現在のアメ車は、米国人が残していったものだという表現は正確ではない。事実は、大半はキューバを去ったキューバ人が残していったものや、当時所有していた持主が維持している車である。

現在、自動車台数は、2006年度合計で75万台、1000人当たり67台で、チリの148台と大きな差が出てしまっている。

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