« キューバで出版されたスペイン語初訳の蟹工船 | トップページ | キューバ医療最新事情 »

2009年1月 2日 (金)

グアンタナモ米海軍基地とはなにか

現在、キューバにあるグアンタナモ米海軍基地に、380名のアフガニスタンなどの「テロ容疑者」が「違法適性戦闘員」として収容されています。この人々には、いかなる法律も適用されないで不当な虐待を受けているとして、米国の内外で非難されています。基地内の収用所の閉鎖をニューヨーク・タイムズ紙などは主張していますが、基地の閉鎖、キューバへの返還は問題とされていません。なぜ米国は、今もなお、キューバ領土内に軍事基地をもっているのでしょうか。

グアンタナモ米海軍基地は、キューバの東南部に、キューバ第二の都市、サンティアゴ・デ・クーバの東64キロメートルのところにあります。グアンタナモ湾は、天然の良港で、1494年4月30日、コロンブスは、第二次航海でこの深い湾に停泊し、プエルト・グランデと命名しました。その後、1500年海図製作者のフアン・デ・コーサが、先住民タイーノ族の酋長の名前を取って、グアンタナモと名前を変更しました。先住民は、この湾を「ホア」と呼んでいました。

その後、米国は、19世紀になって、キューバは、「熟れたりんごは、自然に重力の法則で地上に落ちるように、キューバも米国の領土とすべきだと」、キューバの併合を主張するようになりました。そして、米国は、1898年にキューバがスペインからの独立戦争にほぼ最終勝利を収めつつあるときに、この戦争に干渉し、キューバを占領し、居座りました。米国は、1901年キューバ共和国憲法が制定される際、その中に、「キューバの独立の維持のため」という名目で、「キューバは米国のキューバへの干渉権を認め、さらに海軍基地を認める」という憲法修正条項(プラット修正条項)をキューバに押しつけました。

しかし、米グアンタナモ基地の真の目的は、すでに1895年に5,000万ドルに達していた米国の投資を保護し、キューバへの支配を維持することと、予定されたパナマ運河への接近海路を確保することでした。米国は、米軍撤退の条件に、グアンタナモ基地の貸与を強要し、1903年5月22日に無期限の基地

貸与協定が締結され、同年12月10日、グアンタナモ湾に停泊している米軍艦の中で、基地引渡しの式が催されました。

1934年5月、ルーズベルト米大統領の善隣外交政策のもとでプラット修正条項が廃止されたあと、これを補うため、新条約が結ばれ、基地貸与が再度決められました。今度は、「米国が条約を廃棄するか、双方が廃棄を合意するまで基地の無期限の貸与が認められる」ことになりました。この条約にもとづいて、米国は、基地を維持しているのです。

米国側は、「1959年、革命が勝利したとき、カストロ政権は、以前のすべての国際条約を認めると発表した。したがって、政治的な議論は別として、グアンタナモ基地に関するこの1934年条約は現在も有効である」とみなしています。

一方、キューバ政府側は、「1934年のキューバ・米国関係条約は、前文で述べているように『両国の友好の絆を強化することを希求して』締結されたものであるから、1960年以来米国政府がキューバ敵視政策をとりつづけており、キューバが基地の返還を要求している現在では、その法的効力は有しない。また、いかなる軍事同盟にも属さず、外国の軍事基地も許さないというキューバ政府の非同盟政策とも、この存在は矛盾するものである」という立場をとり、基地の即時全面返還を要求しています。そもそも、海外の他国の領土に、その国の意思を無視して基地を維持することが不道理であることはいうまでもありません。

現在、グアンタナモ湾をはさんで117.6平方キロメートルの湾と東西の陸地が米海軍基地となっています。2500名の軍事要員を含め、約5000名が基地内で生活しています。基地は完全な自給体制をとっており、淡水化プラント、学校、娯楽施設などが備わっています。現在もキューバ人労働者が毎日基地に通勤しています。その数はかっては数百名いましたが、現在は50名程度に減少しています。その分ジャマイカなどからの労働者が働いています。基地の貸与料は、年間2000金貨ドル相当額で、米国は、毎年、現在の相当額約4000ドルの小切手をキューバ政府に送付しますが、キューバ政府は、革命勝利後一度も小切手を換金したことはありません。

ブッシュ政権は、2002年1月からアフガニスタンなどで捕虜とした「テロ容疑者」をグアンタナモ基地内の収容所に収監しています。最高時には、42カ国の595名が収監されていました。

ブッシュ政権は、グアンタナモ米軍基地は、米国の領土でなないので、米国の法律は適用されないとして、「テロ容疑者」の収容所での無法な拷問や虐待、無権利の裁判を行っています。この国際法、人権を無視した野蛮な行為は、広く国際的な非難を受けています。また、「テロ容疑者」は、兵士ではない「違法敵性戦闘員」で、兵士の虐待を禁止しているジュネーブ協定も適用されないという言い逃れを使っています。こうしたブッシュ政権の無法なやり方に対して、米国内外の世論は、グアンタナモ収容所の閉鎖を主張していますが、グアンタナモ基地内の収用所の閉鎖だけでなく、グアンタナモ基地の返還こそ、問題を根本から解決するものです。

(2008年2月22日)

|

« キューバで出版されたスペイン語初訳の蟹工船 | トップページ | キューバ医療最新事情 »

歴史」カテゴリの記事